「平らな道でも躓く事がある。世の中は不公平なものである」
ある哲人、ある政治家が言った言葉である。60分間速歩で歩き、消費カロリーは300カロリーである。汗まみれになって息を切らせて、コップ一杯のビール分である。
ようこそデニーズへ。かつて入った事もないファミレスに入った。注文はアイスコーヒー一杯である。別に健康オタクではない。自らに達成感を求めて、自らの根性を試している。ゴールドジムに入ったのである。
朝7時半、ようこそデニーズでアイスコーヒーのブラックを頼む。
目の前に四組のお客さんが見える。80人程入る店である。中年の夫婦、若い男二人、一人のOL風の女性。二人のサラリーマン風の男がなんとなく目に入る。
目はメニューのある数字を追っている。中年の夫婦は和定食である。ご飯、味噌汁、焼き魚、卵焼き、グリーンサラダ、納豆。メニューには780キロカロリーと書いてある。食欲盛んな太った夫婦はもりもり食べている。若い男二人は早朝より生ビールを大ジョッキで飲んでいる。フライドポテトにマスタード、トマトケチャップ付きである。ミックスサンドを二人で、メニューの数値は1100キロカロリーである。一人のOL風女性、年の程は25、6歳であろうか、スクランブルエッグ、コーヒー、ハムチーズの小さな盛り合わせとコーンサラダを黙々と食べている。メニューには780キロカロリーと書いてある。太っていないサラリーマン風の二人は何と朝から牛丼を食べている。それにコーヒーである。メニューには860キロカロリーと書いてある。味噌汁、香の物付きである。皆、食欲は旺盛である。
私と言えば、ただアイスコーヒーを飲んでいる。元々、朝食の習慣はない。かつて大河内教授という東大の学長が退任の言葉で、太った豚より痩せたソクラテスになれと言った。私はただ太った豚で終わりたくないのである。ガバガバ食べ、チョコパフェを食べ、飲み放題のコーヒー等をガブガブ飲む人を見ると、強烈な嫌悪感が走る。長生きしよう等と思う気はさらさらない。
中年夫婦の食欲は旺盛である。出た物をすっかりたいらげ、デザートに季節のフルーツを頼んだ。
8時になったので私はその上の階のジムに入った。耳にイヤホンをつけ、速度を時速6kmにセットして速歩で歩く。20分も過ぎると汗が出てくる。目の前のメーターに走行距離、消費カロリー等が表示される。30分を過ぎると汗と共に前の晩の酒が出てくる。少しピッチを上げる。テレビの画像を追いながら、ベルトの上を歩く。40分、45分、50分、60分。全身汗まみれとなる。
私の横で痩せた女性が、もの凄い速さでベルトの上を走っている。凄い速くて痩せている。美人ではない。何か恐い。私がシャワーを浴び、帰り支度をしていても未だ走っている。その時間すでに一時間半は超えている。私はインストラクターに聞いた。あの人は何なの?答えは、神奈川のマラソン大会で二度優勝している人だった。なるほど。
東京に出るべく駅の改札口に行く。そこにかの中年夫婦がいた。共に太っている。糖尿病になるか、通風になるか、高脂血症になるかよろしく食べまくってという気持ちである。
犬も歩けば棒に当たるという。この15年歩いて、歩いて、歩き続けた。中々棒に当たらない。ようこそデニーズのように、ようこそいいアイデアに会いたいものだ。ホームにOL風の女性が立っていた。右手に「美的」という月刊誌を抱えていた。
毎日歩かなければならない人をアル(歩)中というらしい。私は酒のアル中でありながら何となくこの15年アル中になっている。目の前に、牛丼、玉丼、カツ丼、ウナ丼、天丼が浮かんでは消える。何の為にドンドン歩いているのかは判らない。
1 件のコメント:
前回のブログじゃないですが、東本さんのような人ほど、無力にならなければいけないのかもしれません。頭を空っぽにして。継続は力なり。頑張ってください!笑
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