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2010年12月13日月曜日

湘南の嵐便り 「先生とフェロモン」


業界の大先輩であり日本を代表する高名なデザイナーの方から電話があった。
久し振りに会って顔を見たいんだよ、時間あるかなと息子さんが私の会社に居た時、結婚の仲人をした、私達は先生と呼ぶ。

先生は英国仕込みですこぶるダンディである。
逗子に英国風洋館を持ち、駅前にビルを持ちジャガーに乗っていた。
先生は決してお金儲けに興味が無いがバブルが弾け悪いファンドマネジャーや銀行等にダマされあっという間に全財産を失い自己破産をした。
以来先生の心身はすっかり抑うつ状態になってしまった。


電話の声は私が同じ様な気分になっていた時以上に暗く重かったので不吉な予感がして直ぐ次の日の夜食事でもしましょうという事にした。

先生はダンディであったが元気なく、いやー久し振りと約束通り夜六時半に来た。
先生何食べましょうかという事になり、久々に銀座のお多幸でおでんでもいかがですかと言うと、先生はいいねおでんと言い並木通りのお多幸に行った。



カウンターのある一階は満杯で二階に案内された。二階もほぼ満杯であった。
とりあえずお刺身の盛り合わせ、串カツとイカフライ、マグロのぬたそして仕上げにおでん盛り合わせを頼んだ。先生はウィスキーの水割り、私はお酒を頼んだ。



先生はいやー大変な世の中になったねと言った。
かつては世界中から仕事が来ていた人である、しかし不景気と共に仕事は激減した。
老人介護とか老人施設とかかなりネガティブな話で始まったが私の大風呂敷を広げたハッタリのある話に少しずつ元気が出て来た様であった。


九時少し前にお多幸を出てタクシー乗り場に向かって歩き出して約五分、こんな時代でも銀座のクラブの中では元気のいい店の前に居た。
新作の映画はその店のオーナーの義姉を主役に使って1211日渋谷で完成試写会をやるので先生最近若い女の子の居る処で遊びましたかと聞くと、全然ないよという。

※イメージです

だったら若くてピチピチした女の子と飲めば元気になりますよと言って店に入った。
身内同然の様な店(私の兄弟分の店)なので入ったらワァー、キャーとなりすごい美人ですごいボイン、早稲田の学生、元ヤクザの女性(今度オールヌードの写真集を作る予定)が先生を取り囲んだ。20代の女性の威力はやはり凄い。

先生は無口だがみるみる元気が出た様であった。
やはり男は女性のフェロモンが一番だ。気が付くと11時を過ぎていた。

店を出て銀座四丁目まで先生と歩いた。
いやー今日は楽しかったよ、何だかヤル気が出たよと言ってくれた。
気が滅入ったらいつでも又お会いしましょうと先生に一つお願いをしてお別れした。



おでんと美女達でお世話になった人が元気になってくれればいい夜だ。
その夜銀座は殊の外暖かであった。


完成試写会には美女軍団もスッピンで来るという。素顔の付き合いこそ本当なのだ。
未だ声がガラガラしていたが65歳でジーンズの上下、ブルーのショール、渋い声でいい感じなんておだてられて恐い請求書を待つ事になる。
男から遊びを取っては生きていけないのだ。
「抑うつ」に一番の良薬は若い女性といい女のフェロモンだ。

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