遠くで海鳴りが聞こえる。
遠くで貨物列車の通過する音が聞こえる。
昔から音をじっと聞くのが好きである。
何だかブルースの様な夜、懐かしい音が夜風に乗って聞こえて来た。
ピラリーラリ、ピラリラリラリーと。そうです、ラーメン界の帝王チャルメラです。屋台のラーメンです。
夜十時三十分、外に出るといました、いました。
ライトバンを改造したチャルメラ屋さん。何十年振りだろうか、胸が高鳴り心は震える。
おーいと呼べば、へーいと応える。山のこだまの様である。丼ぶりを二つ持って1人で整列。
立ち上げる湯気がたまらなくいい絵ではないか。
おじさんは65才位か、いやもっと若いかもしれない。
丼ぶりを湯にひたす。麺を入れる、丼に味の素少々、ぎざみネギをさっと入れる。
醤油ダレを入れてスープを備え付けの道具から入れる。ゆであがった麺が網目の中で楽しそうに揺れる。
丼に麺を投入、お箸で丁寧に整える。備え付けの小さな引き出しからメンマ、ナルト、チャーシューを二切れ入れる。
最後に長方形の海苔を一枚で、出来上がり。
いいね、いいね、おーい取りに来いと声を掛ける。
何!コショウ入れてだって、自分で入れろっていうの。
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