駅弁が嫌いという人は先ずいないだろう。
旅といえば駅弁となかば法律で決まっている。
駅弁は不思議な食べ物で、着いた駅それぞれの名物駅弁を食べてもお腹は許してくれる。そして次を求める。三個位食べても満腹にならない。
駅弁プラスかつサンドとか、ハンバーグサンドとか、ゆで玉子を追加したりしても大丈夫なのだ。
あ〜もう会社は嫌だ、仕事は嫌だ、家に居てもストレスがたまるばかりだ。
ヨーシ旅へ出よう、そうだ京都行こう的決意をした瞬間から、心と体はルンルン開放状態になり、お腹は駅弁を求めてグーグー状態になる。
この頃旅に出ていないせいか、駅弁と対面していない。
で、東京駅から帰宅するにあたり駅弁を買うべしと思い、駅弁ショップに入った。
大混雑であり、ヤル気というか買う気を失ってしまったのだが、人と人の隙間から牛たん弁当とか、イカ飯とか、牛肉すき焼き弁とか、深川めしとか、海鮮うに丼とかが目に入る。
オッと目に入ったのが福井県名産、福井県知事賞受賞と金色の帯が付いた「焼き鯖寿し」だ。さすが鯖街道がある福井の鯖は肉厚で脂身十分、コゲ具合も気合十分、ご飯の色合いもすこぶる旨そうなので一本買った。
ペットボトルのお茶と共に、いざ行かん心は旅気分で列車に乗った。
ところが手頃な空席が無く駅弁の立ち食いはマナー上許されない。
仕方ないきっと横浜か戸塚で空くからそれまでじっと我慢だと決めた。
ガタンゴー、ガタンゴー、座っている人間たちは崎陽軒のチャーハン弁当とか、牛肉どまん中とか、釜飯風なんかをシコシコ食べている。
ガタンゴー、ガタンゴーと進み大船駅で空席がいくつか出来た。
ヨシ!鯖ズジダーと急いで包装を剥がす、次は藤沢その次は下車する辻堂駅だ。
焦ってしまって包装を剥がすのに手間どってしまった。
出たぞぶっ太い一本の見事な鯖ズシガァーと喜んで切り分けた焼鯖を掴んだ。
予想以上にでかい、口に入れようとしたらご飯部分がボロっと落ちてしまった。
アリャーと下を向いたら鯖寿司が喉に引っかかってしまった。
ウオッ、グッルジィ、背中まで痛む。お茶だ、お茶だとペットボトルを開けた。
お茶はすっかりぬるくなっていたがそれを飲んでやっと鯖寿司は胃の中に向かって行った。列車も順調に目的地辻堂駅に向かっていたので、二つ目の鯖寿司を食べ始めたら藤沢駅に着いてしまった。チクショーと思い辻堂を通過させ次の茅ヶ崎に向かった。
旨い!この調子で食べ続ければ二本食べ終わるのはきっと平塚か大磯だ。
実は残り半分は家で食べたのです。駅弁は家で食べると実に物悲しい風情の食べ物になってしまうのです。
焼鯖寿司をじっくり味わいながら楽しむには、私の計算だと47分18秒が必要です。
列車の中で食べれば絶品です(東京駅で売っています)。
1 件のコメント:
鯖のへしこを食べ
鯖街道を通り
京都に旅した思い出が
よみがえりました。
車窓を眺めながら
ゆっくり味わうのが
駅弁のおきてのように
思います。
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