赤ベタに白ヌキでどっか~んと「肉まん10%引きセール」とユラユラしていた。
始まったばかりなのに即10%引きセールに相当のヤル気まんまんを感じた。
前日までその場にあった「涼味抜群!冷し麺」青ベタのに白ヌキの旗差し物は主役の座を追われたかのように片隅に移動されていた。
店内に入ると人気を集めていた花火類がすっかり下火になっていた。
又吉直樹先生の「火花」は売れているが売れ残った花火はどこへ行くのかと思った。
深夜二時近いコンビニの店内はなかなかに映画的である。
レジ前のテーブルの上にある、パックに残ったアジフライ一個はどこの家へ。
パックに入った四個のギョーザは誰の口へ。
その横にあるパックに入った五個のシューマイはいかなる運命に。
アジフライはかなりカチコチになり、ギョーザとシュウマイは変色しながらカリカリになっている。
月刊文藝春秋とウイスキー山崎のポケット瓶を買う。
夏ももう終りだなぁ~と男の店員にいう。えっまだですよと応える。
アジフライにギョーザにシューマイ、こんなになったの誰か買うのと聞いた。
いますよ、ちゃんと売れますよといった。
こんなかんじになった方が好きというお客さんがいるんですよ、へぇ~そうなの一度会ってみたいねそういう人にといった。
あそこの花火なんかごっそりあるけど売れ残ったらどうするのと聞いた。
海岸に持っていって火をつけてバッバッバーン、ドドーンですよ、なんてウソですというではないか。
キミはなかなかいうねといったらバイトですといった。
私はこういう若者がとても好きなのです。
どこの大学だいと聞いたら文教大学ですと応えた。一年留年してましてといって笑った。
キミは社会に出たら使えるよといったら、本当ですか、すいませんアルコールを買っていただいたので、私は20才以上ですの「はい」をタッチして下さいというから「はい」を押した。
変な会話をした後店を出た。
今年の夏はいい夏でしたかと聞かれたら「はい」とはいえない。
何しろテレビも新聞もオリンピックのエンブレムのニュースばかり、おつき合いはないが同じ業界の有能な人材が盗作だ、パクリだと袋叩きになっているのはとても辛い。
「鬱」を経験した私は本人の表情がどんどんシンドクなっているのが心配だ。
仲間たちよ、仲間の心身を守れと思っている。
昨日昼、仲間四人と尊敬する葛西薫さんの紫綬褒章を祝うランチ会をした。
葛西さんもとても心配していた。「ほがらか」でとてもいい男なんですよねといった。
この頃国全体が「ほがらか」というステキな言葉を失っていたことに気づいた。
残暑に向かいほがらかでありたいと思った。
というよりかくあってほしいと願った。
いつものグラスにウイスキー山崎を入れてグビッと飲んだら少しだけ体がほがらかになった。
肉まんを食べる気にはまだなっていない。次はいよいよ「おでん」だろう。
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