何から食べ始めるかでその人となりを予想する。一昨日ラーメン店に入った。私はフツーのラーメンに煮玉子入りを頼んだ。 L字型のカウンターには8人ほど座れる。私は L字の片隅に座った。私の左隣にセールスマン風50歳くらいの人がパンパンに膨らんだ黒い鞄を持って座り、グラスビールとチャーシューメン、メンマ多目、ネギ多目、 メンやや硬目を頼んだ。元気な若い衆が、ハイ、メンチャメニカタメンマトッピ(トッピング)ネギネギと言った。私はこういう人にはとても親近感があり、でもその行動に興味が湧く。頼んだものが来るまでスマホをいじっている。私の方が先に来て、少し遅れてその人のが来た。ハイドーゾと30代中頃の女性店員。その人はスマホを止めて、箸とレンゲを手にした。メンの上にメンマが何十本も、キザミネギは数え切れない。メンの外側に、黒い海苔が何気にのっている。コショウをかなりかけて、少しむせる。 ラー油をポタポタと垂らしてニタッと笑う。すぐに手をつけず、しばしメンと対面、まず箸でメンマを一本ずつ外側に運ぶ。チャーシューが何枚あるかを一枚一枚箸をつける。ナルトが2枚入っていて、ナルトの渦巻きを見つめながらビールをグイグイと飲み干す。そしてまずナルトを一枚、次にメンマを2本3本4本。残りのビールを飲み干す。大量のネギをメンの中に沈める。ノリにスープがしみ込んだのでそれを箸へ。口の中にへばりついたのか水をゴクリ、次にナルト一枚。メンマを数本、そしてレンゲでスープをひと口、ふた口。すいませんビールもう一杯。そしていよいよチャーシューを一枚、メンマの下のネギのかたまりを口へ。レンゲでスープ、そしてビール。フゥーとため息を二つ。そしてやおらメンにし集中、箸にゴソッとつかんで口の中に、ズルズル、ズルズルと入れ込み、チャーシューをメンにからませ、メンマと共に、実にスムーズにラーメンを我が物にする。すいません、ゴマおにぎりを一個頼み、それを食べ始め、半分以上になったラーメンとスープ、チャーシュウとメンマ、キザミネギの大ハーモニーの中に、もう一度コショウをかける。花粉症の私は目に涙をため、鼻をムズムズさせていたら、コショーが鼻に突入してきた。ファファファファクッションがはじまった。こうなると止まらない。その人はどうやら土地の不動産仲介業、この店は我が家の如し、そしてかなりのオリジナリティと費用対効果を知っている。実にリズミカルにラーメンを食べ終わった。黒い鞄の中にはマンションや住宅のカタログがごっそり。旨そうに食べるね手際よくと言うと、汗をふきふき、大好きなんです、本当は血糖値が高いからあまりいけないんですが、ネギとメンマをたくさん食べてチャラにするんです。スープは少し残します。ウヘヘヘ。すいませんお勘定と言った。私はまだ途中であった。身長は160くらい体重は85キロくらい、関脇貴景勝を思い出した。頭脳的である。何故か万世のパーコーメンが食べたくなった。近々神田に行く。待っていろよ。パーコチャン。
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