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2012年5月10日木曜日

「富士と住職とヘリコプター」


平和公園仏舎利塔


5月8()午後一時半頃御殿場にある平和公園にいた。
そこに巨大「仏舎利塔」がある。地元出身の三徳の会長堀内定良さんが私財を投じて開いたという。
インドのジャワハルラール・ネール元首相から贈られた仏舎利塔がある。海外から沢山の人が来る。

何故私はそこに居たかといえば、3.11で亡くなった方々を悼むモニュメントをアートディレクターの浅葉克己さんと鉄のアーティスト小谷中清さんと制作しているのだ。
東北に行きたくても行けない人々が日本の象徴である富士山を背景に一本のお線香を手向けるそのモニュメントを制作しているのです。

私が独立した42年前からお付き合いを頂いている日本一良質な羽毛布団を作っている「東洋羽毛」さんという会社があるのです。そこの宣伝・広報などを担当している太田えつ子次長(旧姓神谷さん)の実家が御殿場で、廣智山大乗寺という450年の歴史を持つお寺だと聞いていたので、当代の住職さん神谷高義様に会いに行ったのです。

大乗寺


神谷住職は太田さん、むかし神谷さんのお兄さんである。
三千坪の敷地の中に、江戸大工平内大隅(へいのうちおおすみ)の技を残す本堂がある。
「こんにちは〜」と私と小谷中さん、デスクの上原君。「いやーいらっしゃい」と住職さん。
私服なのでまるで住職さんでない。応接室には本格的コーヒーマシンがあり4種類も選べる。

で、エスプレッソをいただく。日本間、座布団、日本茶、和菓子を連想していたのでかなり意表をつかれた。
代官山のブティックのオーナーの様な美人で笑顔が印象的な奥方が来る。もしかしてお釈迦様の若い頃はこんな人ではなかったのではと思う位、実に佇まいのいい23歳の息子さん、住職さんの跡継ぎだ。


それじゃ色々見て回りますかとなり住職さんの運転するBMWに乗せていただく。
はじめに富士霊園を見る、次にここ十年程行ってないが仏舎利塔に行ってみようとなった。
その場所に行き、お線香をあげたりしていると空にヘリコプターがグルグル旋回して来た。
 住職さん「おっ○×さんだ」と手を振るではないか。ヘリは直ぐ上だ。

住職さん携帯をかける、なんでも先日このヘリで東京に行って来たとか(東京まで30分)「あのさ〜今家のえつ子の知り合いが×○□△の話で来てるのな」などと話す。そしてあの人は少年の頃とんでもない暴れん坊であったがここの上人さんに二年間預けられインドなどに行き修行をし実業家になったとか。大変な男だから是非会ってくださいとなった。


で、ヘリポートへ行くとヘリの側にその人と、その友人(仏舎利塔の取り仕切りの人)。
住職さん「どこ行ってたの」その人「下田まで寿司食べに行ってたんだよ」(ヘリで20分)とかなり会話がヘリコプター状態になって頭の中がクルクルしてきた。そこに地元の建設会社の人がその人に挨拶に来る。
そして電動の薪割り貸してくださいなどというではないか。その人「ああなんでも持ってけよ」と。ヘリの格納庫の中には色々ある様だ。その人コーヒーを勧めてくれる。

何しに来たのといわれたので、カクカクシカジカと応える。私と同じ年であった。
お互いに親不孝を重ねたので話はズンズン弾む。一時間、二時間おれもよぉ〜相当変わってっけどアンタも相当変わってんね、でもいい話だ、オレに出来る事があったら何でもするよ、あんた御殿場の変人会に入る?っていうから是非にと応える。ヘリ乗らないかいというから今度是非と応え、又、お会いすることを約し別れの途に着いた。車が見えなくなるまで手を振ってくれていた。

ブルージーンズに白いコットンシャツ、むかし石原裕次郎がやっていた様にシャツの下を縛っていた。
赤いリングシューズが中々に決まっていた。きっと喧嘩に明け暮れていたのだろう、目は鋭く手はゴツかった。
私には分かるのだ。ガッチリと握手したその手で男の歴史が。
小谷中さんは何から何まで奇跡的ですね、十年振りで行った処に偶然ヘリが飛んで来て手を振って色んな人達と会えるなんて。私は応えた、この頃ね奇跡的な事が私の回りで起きてるんだ、だからきっとこのプロジェクトは成功するよと。

神谷住職はもともとはアート指向であったとか、フランスに留学して学んだと聞いた。
どうりでアーティストの名が次々と出た訳だ。林の中にある「蕎林」のおそば。日本で初めてハム・ソーセージを作ったという「二の岡ハム」。和菓子「虎屋」のとらや工房、東山旧岸邸(岸信介)などなどを案内してくれた。


「オッなんだ」といい運転席から対向車線を走っている車に手を振るではないか。
「オーイ」なんて誰かと思えば息子さん。なんとこれから私が住む茅ヶ崎で檀家さんのお通夜があるとか。
いやはやこれ程充実していた一日はこの頃少ない。更に驚いた事に御殿場にカーマニアが集まる処がある。
そこには日本で有名なスーパーカーのコレクターがいるとか。そこに私がかつて一緒に仕事をしていた電通のクリエイティブディレクターがよく来るんだと。へぇーっといえばタイヤ4本取りに来る様にいっておいてくれなんてヘリのオーナー。

5月9日朝一枚の葉書を書いた。「御殿場でヘリコプターに乗っている怪人がタイヤ4本取りに来いって」と。

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