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2014年8月7日木曜日

「金魚だって焼き魚」




小さな庭にある、小さな池、その中に三匹の赤い金魚がいるのだがあまりの暑さに酸欠を起こし口をパクパクしていた。

このままでは金魚が焼き魚になってしまうと考えた。
何しろ金魚の言葉が聞こえたのだ。アヂー、アヂーと。

で、金魚に詳しい人に相談した。
(一)日影をつくる。
(二)水をチョロチョロ落ちるように出す。
(三)空調の室外機から出る熱風を遮断する。
(四)エサを余りやりすぎない。

小さな金魚も三年経つと立派な鯉のように見える。
賢いことにこれ以上大きくなると生きていけないと小さな池に合わせた大きさにしか成長しないらしい。

東海道線の列車の中に巨大、肥満化した大男が乗って来て私の横にどすんと座った。
黒いズボン、白いワイシャツは汗でぐっしょり。このヤロー随分暑苦しいなと思う。
腹がどこんと突き出てボタンが弾け飛びそうだ。カバンからマンガを出して読み始める。メガネが曇っているがお構いなしでひたすらマンガを読んで、ケッ、ケッ、ケッと笑う。体を揺さぶりだすと私は随分とキュークツになる。

100キロから110キロはあるであろう三十代中頃の男に私の全神経は奪われてしまった。
ブルルルル、男はガンマンのホルダーの様なところから携帯を出した。
このヤローこれで大きな声で話だしたら××にしてやると思った。左手にマンガを見開き。右手でメールを打っていた。すこぶる器用な男だった。ケッ、ケッ、ケッとまた笑った。

小さな池の中の金魚は教えに従って手当をしたので、すこぶる快適になったようだ。
夜、家に帰り懐中電灯で照らしたら赤い血の塊が気持よく泳いでいる様だった。

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