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2015年2月13日金曜日

「一羽でもニワトリ」




我が子を育てるように酪農家や養鶏業の人々は、牛、豚、鶏を育てる。
オイお前食欲はあるか、少し元気がないぞ、オイお前風邪でも引いたんじゃないか鳴き声が枯れてるぞ、オイお前腹の調子でも悪いんじゃないか便がゆるいぞ。

牛はモーモーと応え、豚はブーブーと応え、鶏はコッココッコと応える。
子牛から大人の牛へ、子豚から大人の豚へ、ヒヨコから大人の鶏へ。
それはそれは丹精を込めて育てる。なんて人間はやさしいんだと思う映像のあとに。

牛肉がグツグツと音を立てて白滝や春菊やネギやお麩と共に鉄鍋の中で「スキヤキ」となっていく。鉄板の上でステーキとなっていく(まるで火炙りのごとく)。
豚肉は切られ、包丁で傷を入れられ、衣をつけられ熱油の中にジューと入れられ「トンカツ」となっていく(火炙りのごとく)。
鶏は逆さ吊りにされ、毛をむしられ首を切り落とされ切り刻まれた。その上串刺しにされ炭火で焼かれ「ヤキトリ」となっていく(まるで火炙りのよう)。

心暖まる酪農家の人たち、養鶏業の人たちの映像と、火炙りになり人間たちの口に入る“料理”の映像を見るとガクッ、ガクッ、ガクンときて目の前の肉類を食べたくなかった。
筋肉隆々、ゴハンをモリモリ食べていた牛たちが四角いダンボールの箱に入って出荷されていく。
若い女性たちがステーキを食べて、キャーこれおいしい“本当の牛肉”みたい(?)とハシャギまくった。

「六道輪廻」生き物を食べた者は一度地獄へ落とされ(畜生に)生まれ変えられると「僧源信」は「往生要集」に書き残している。
それから逃れるには、生き物を食べた以上の善行を重ねるしかない。

こら!そこのオヤジ、ヤキトリ何本食ってんだよ、未だ、皮、ボンジリ、レバー、つくね、シロ、ハツ、タン、カシラ、セセリしか食べてないだと、地獄へ行くぞ、今度生まれて来るときは養鶏場の中のニワトリだぞ。一羽でもニワトリとはこれ如何にだな。

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