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2019年3月13日水曜日

「合羽橋にて」


会えば年がら年中、同じことばかり話しをしている。この頃それが自分でないかと思う時がある。 目新しい話が出来なくなったら、あまり人と会わない方がよい。相手に悪いし、自分がつまらなくなってしまうからだ。相手は内心また壊れたレコードみたいに同じことを言っている。やることがあるのにいい加減にいい迷惑だと顔に描いてある。日本人も昔は芸術、文化に投資する経営者が多くいた。そのおかげで古今東西の文化が守られて来たり、芸術品が守られている。例えば大原美術館、五島美術館、根津美術館、山種美術館、ポーラ美術館、ブリジストン美術館、等々日本全国に私財を投じた芸術の館がある。私の好きな言葉の一つに、「シンドラーのリスト」の主人公の言葉がある。金はどんな汚い手を使って稼いでもいい。だがその金を全部きれいに使えばいいのだ。もともと金は不浄のものである。人材を育てるものは、極貧になってもいい。若い人に資金を投じる人がすっかりいなくなってしまった。日本中にタンス預金的なのが1500兆円近くもあるという。このほんの一部が気合を込めて投資されれば、日本の芸術文化は育ち、守られる。元サムライの渋沢栄一さんは長屋のようなところに住みつつ、400社とも言われる会社を生み育てたという。その意志を継いだ者が日本の学者たちを養い育てた。昨日あるところに、将軍家剣術指南役の柳生一族の家訓が載っていた。私もこれを常日頃心がけている。(才の三段階)(一)小才は縁に出合って縁に気づかず。(一)中才は縁に気づいて、縁を生かさず。(一)大才は、袖すり合った縁をも生かす。家柄とか学歴とかで人を見分けていると、実はすばらしい才能を見過ごしてしまう 。私たちの仲間に近々、中国人の若者が加わる。縁をとりもってくれたのは業界の大御所である。先日その若者に会って、その才を見込んだ。実に楽しみである。会社なんてものは、利用するだけ利用すればいいんだ。私の仕事は人材を見つけて、大きな木材に育てることだ。「日々是新人」でありたい。昨日は手招き人形づくりを探しに、合羽橋を歩いた。聞けば人形師のは瀬戸から中国へ伝わっているとか。かつて仕事仲間であった男が、浅草橋で日本の伝統を守る職人たちを守る、会社&ショップを立ち上げた。昭和の名残を大切にしながら、夫婦で仲良くショップをしていた。心から嬉しく思った。友人と二人でレモン入りハチミツジュースを飲んだ。 職人気質は純粋である。不器用で頑固である。そして金勘定は無頓着である。そんな代々続けてきた職人芸を売る人たちを守りたいものだ。久々に合羽橋を歩いていてそう思った。

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