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2019年3月20日水曜日

「戦わない文字」

「鬱」この文字ほど見たくない文字はない。さらに「憂鬱」となると、見ただけで気分が重くなる。確か故夏目雅子さんが、結婚相手となる作家、伊集院静さんを評して、この鬱という字をサラサラって書けるんですよと、インタビューで語った。世の男たちはオレも書けるようにならねばならないと、辞典を虫メガネ(ルーペ、この時はハズキルーペではなかった。)を見て、鬱に挑戦をしたという。「鬱」ということに対して、ある医学雑誌にこう書いてある。この病は死ぬよりもつらい、もっとも気をつけなくてはならない副作用は、「自ら死を選ぶことであると」。3月17日日経新聞文化欄に、いつも読んで勉強させてもらっている『「遊・遊」漢字学』というコラムがある。漢字学者の「阿辻哲次」先生が書いている。鬱を分解すると《林》《缶》と《》《》《彡》になる。《》は二本の柱で、その間に《》(キビから作った酒)を入れた。《缶》(酒壺)をおき、それを覆って密閉する形が《》で《彡》は酒の香りがあたり一面に漂っているさまを表す。(原文ママ)かなり複雑な構造だが、要するに「鬱」とは祭祀に使う酒の香りがあたり一面に立ち込めているめでたい状態を言うらしい。「しげる、さかん」という意味を表した「鬱蒼」の「鬱」がその意味であり、またさかんに集まることから「ぎっしりふさがる、こもる」という意味になった。「憂鬱」とはたくさんの心配事がこもっている状態のことである。こう書いているだけで気分は重くなる。私はかなりの経験者であった。負けてたまるかと生きて来た。ただ健康な人は気をつけてください。カウンセラーの言うところによれば、1日に何回も「あ〜疲れた、あ〜もう嫌だ。そしてこの頃よく眠れない」この3つを発している人は、すでに「鬱状態」になっているので、周囲の人が気をつけて決して無理をさせないでください。「鬱は心の風邪」なんて呑気なことを言ってはいけません。「ガンバレ」は禁句。借金は命とりとなります。逃げるが勝ちなのです。ちなみにこの世は不条理で、お金を借りた人間より、貸した人間の方が「鬱」になります。 しっかりと断る勇気を。今、「鬱の人」はドクターを信じて、決して焦らずゆっくりと、きっとよくなりますから。と、言っても国の病院は2時間以上待たされて、診察はわずか3分〜5分で終わりです。すこぶるカウンセラー後進国なんです。ある人によると戦国時代の大名は、ほとんどが躁鬱状態になっていたらしい。鬱とは決して戦わず仲良くなること。

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