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2020年3月3日火曜日

第30話「私は万一」

私は「万一」である。万が一に起きることを表す。三月一日日曜日、外国から日本に帰って来る女優さんのインタビューがあった。銀座一丁目オルハショップで、プレゼントにと羽毛製品をいくつか購入していたのを受け取りに行った。お世話になっている東洋羽毛さんの人たちと、ある場所で待ち合わせていた。広告代理店の人とカメラマンと、ウェブデザイナーの人も一緒であった。著名人とどこで会ったかは、書くことは許されない。銀座は東京マラソンが終わった後だった。そこはまるで廃墟のように人がいない。SFの映画のシーンのようであった。私万一(マンイチ)は思った。銀座四丁目の二階にある珈琲店である。少し時間があった。総理大臣の権力とはいかに強大か。鶴の一声で全国の小・中・高を一斉に休校させられる。これがもし憲法を改悪させられていたら、もし自衛隊が戦争に突入することを許されたら、鶴の一声で若者たちが軍隊に招集させられるのだろうと。これは決して、万一ではないのだと、私万一は背筋が寒くなった。国家の三権を独占したら誰も止められない。私万一は、愛する孫たちが戦場にいる、悪夢を見た。私万一は更に思った。新型コロナウイルスで、莫大な利益を追っている人間たちがいることを。かつて「陸軍登戸研究所」というのがあった。そこはニセ札とか、あらゆる軍事目的で薬の開発などを研究していた。日本軍「七三一部隊」も影響を与えていたという。今、テレビに出ている疫学の専門家たち、政府から招集された人の中には、「七三一部隊」の流れの中にいる人たちがいるという。米国や中国、それにスイスなどは、新薬開発のトップランナーであって、常に新しいワクチンを開発している。新型コロナウイルス対策で特別予算が3000億近く投入される。その中には疫学研究に対する膨大な予算が入っている。大恩人が闘っているパーキンソン病が治るかもしれないと期待している、山中伸弥教授のiPS細胞研究費は、大幅にカットされているのに。私万一は、万一を思っていたら、やたらに胃が痛くなり、ドラッグストアで「ブスコパン」を一箱買ってそれを服用した。テレビで見た通り、マスクや消毒液、トイレットペーパーなどの棚は空っぽだった。私万一はその夜帰宅した後、陸軍登戸研究所のドキュメンタリー映画を見た。今は明治大学になっている。国家権力とは途方もなく恐ろしいものであり、人間という生き物は、途方もなく変形する。そこに利権があれば。万一に起きる可能性は宝くじに当たるより、確率は高いと私万一は思った。悪魔は微笑しながらやって来るという。子どもたちを新型コロナウイルスと戦争から守らねばならない。いつの間にか香港のデモのニュースがなくなっている。




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