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2020年3月17日火曜日

第38話「私は結局」

私は「結局」である。世の中は手を洗え、顔を洗え、人が触れる物を消毒せよとなっている。私結局はある賢人から先日教えられた。この世で一番汚いのは、お金だよ。国内は勿論各国の紙幣、硬貨だよと。いくら手を洗っても、人から人へ渡って来た紙幣は洗えない。硬貨もだ。誰も触っていない、“お金”は、ない。悪業をして稼いだ金を、正業をして稼いだ金の如くするのを、「マネーロンダリング」という。例えは悪いが今、新型コロナウイルスから身を守るために、あるいわ人に感染させないためには、日本国にいる人間全部が、持ち金を洗浄(マネーロンダリング)しなければならない。ずっと前からあちこちに知恵をしぼって、隠し持っているのはきっと大丈夫だろう。まい日紙幣や硬貨を使用する度に、アルコールで消毒する生活が必要だ。かつては大人たちから、紙幣や硬貨を触れると手が汚れるから洗いなさい、なんていわれた。最も手を洗うほど手にはして来なかった。私結局は鎌倉の八幡様の近くにある。“銭洗い弁天”を思い出した。むかしから銭は不浄だったのだろう。敬愛する漫画家さんの作品に、“銭ゲバ”というのがある。以前ある会社の仕事をお願いに行った。大先生は狭い部屋の三角地帯みたいな所で、シコシコと仕事をしていた。数多くの大ヒット作を生んでいたので、さぞかしスゴイ仕事場だろうと想像していたが、全く違った。数人のお弟子さんが、無言でいた。大先生は後姿からふり返りながら、私結局と広告代理店の人に、早く銀座に行って飲もうよ、さ、行こ行こと言った。私結局がB3サイズの紙に描いてくださいと言うと、そんな大きな紙持ってないよ、文房具屋さんに行って買って来てと言った。そ、そうかB4の紙をセロテープで貼ればいいかと言った。私結局はこの瞬間、大先生の大ファンになった。で、夜銀座に行きその後ホステスさんたちをタクシーにギューギュー詰めにして、六本木の店に連れて行ってもらった。大先生は、大型クルーザーも持っていて、今度一緒にどお、なんて言った。金はやだね、持っていたくないね、そんなことを言っていた。私結局は、天が教えているのではと思う。結局お金こそが汚れている代表で、消毒すべきモノなのだよと。人間は一人ひとりの中に、“銭洗い弁天”を持たねばならないのだろう。「シンドラーのリスト」という名作映画がある。アウシュヴィッツの収容所から、多くのユダヤ人を救った人である。その原作の中に、こんな言葉があった。「金は汚く稼いでもいい、それをきれいに使えば」私結局は、結局シコシコと働くことしかできない。大先生はお元気だろうか。同じ仕事をもう一人の大先生に頼んだが、意外にもその大先生は超のつく銭ゲバで、金の話(ギャラ)ばかりをして崇高な人格者である、広告代理店の人を激怒させた。“人は見かけによらない”ものなのだ。さあ、皆さん持っている紙幣や硬貨をシコシコと、プシュプシューと消毒を。世界人口の中の30億人が、手を洗う生活ができていない。つまり発展途上国の人々だ。インドや、アラブなど多くの民が、日常生活の中の食事を、素手で行なっている。私結局は天命に従うしかないと思っている。但し人に迷惑をかけてはならない、とも思っている。“お金をもうけてはいけないんですか”“悪いことなんですか”。そんなことを言い放った嫌な男の言葉を思い出した。(文中敬称略)



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