映画野郎はコーフンしていた。
昨日カナダで開かれていた「モントリオール映画祭」で、男がプロデューサーとして仕切った作品が「最優秀監督賞」を受賞したのだ。
男の名は「星野秀樹」。都立大学出身(現在の首都大学)の映画野郎だ。
作品名は「そこのみにて光輝く」。受賞した監督は「呉美保」さんだ。
午後のニュースで知ってすぐに電話を入れると、ルルルルル…あっこれは海外にいると思った。発信音ですぐわかった。
もしもし、星野ちゃん、ハイ星野です。
おめでとう、ヤッタネ、どうもありがとうございます、すごくコーフンしています。
今、みんなでパーティーをやっているんです。
いつ帰るの、明後日です。
それじゃ帰ったら御祝いをするよ。
そんな短い会話をして終わった。
主演の綾野剛も一緒だったはずだ。池脇千鶴もニュースに映っていた。
呉美保監督は37歳、大林宣彦監督の愛弟子だ。
その大林さんは黒澤明監督の弟子であった。映画野郎の魂は引き継がれて行く。
低予算の映画製作は並大抵の苦労ではない。
星野秀樹は間違いなくこれからの日本の映画界の代表選手になるだろう。
否、すでに何作も名作を手掛けて代表になっている。
この映画の原作者は北海道室蘭出身の「佐藤泰志」、芥川賞の候補に5回なるもその賞を得られなかった。41歳の若さで自ら命を絶った。今この作家が見直されている。
最近観た映画でNo.1は「そこのみにて光輝く」だ。きっと再上映されるだろう。
一人でも多くの人に観てもらいたい作品だ。
来年は私が今製作している作品で世界に挑む。
超低予算だが映画野郎たちが手弁当で集結してくれている。
吉永小百合は女性だが、ステキな映画野郎だった。
彼女がプロデュース&主演した作品が、審査員特別賞グランプリを受賞した。
震える声でスピーチするその姿は、69歳だが少女の様に可愛いかった。
いつまでも映画少女なのだ。
夢を追っている人は、男も女も美しい。
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