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2018年12月11日火曜日

「新橋の喫茶店」

カルロス・ゴーン容疑者が、起訴され再逮捕というニュースが、昨夜帰宅すると、どの報道番組でも流れていた。最長だと法的にあと20日間勾留される。となると娑婆に出る日は、除夜の鐘がゴーンと108回鳴らされている日になるのかなと思った。否認を続けると、検事は(この事件の場合は検察トップ案件のはず) 徹底的に辛い仕打ちをする。例えば二つ、三つの容疑があれば、それを一括にせずに、一つ、二つ、三つと分けて起訴を続ける。1日でも早く出所したいと思っている容疑者は、もっともこれを恐れる。いわゆる門前逮捕みたいなものだからだ。門前逮捕とはやっと出所して我が家の門に着いた時、今度はこの事件の容疑でと逮捕される。あ〜、やっと温かい風呂に入れる、やっと妻子に会える、 暖かい布団で寝れる。寄せ鍋とかでホカホカできる。久々に刺身などの生ものが食べれる。がすベてがオジャン。かつて男と男が酒を飲む時は、金儲けの話はご法度であった。私が憧れ尊敬する先輩からキツク仕込まれた。仕事をさせてください、それは若い人間を育てるためなのでとか、経験させてやってください、それは言っていいが、ひともうけにからませてくださいとか、ひと口のっけてください、これは絶対に言うなよと。スヤイ男にされるからなと。(スヤイは安いの逆の言い方)男の世界ではいちばん屈辱的な言葉。男と男は天下国家を語らい、夢やロマン、恋愛の歴史や趣味の話、大風呂敷でも壮大なホラを言い合うものであった。 議論風発である。昨今は、金、金、金。新橋駅前ビル3階に、昭和風純喫茶がある。お医者さんが急死してしまったが、その3階にかかりつけの歯医者さんがあった。 予約をとり少し早めに着くと、その喫茶店でコーヒーを飲んだり、夏はアイス入りソーダ水を飲んだ。ミックスサンドが旨かった。今、思えば確かにそれらしき男たちが何人かいて、スポーツ新聞を読んだり、訳あり風な話し方をしていた。森功の近著「地面師」を読むと、その喫茶店が一味の集まりの場の一つであったらしい。今、3階は中国人経営のマッサージ店がひしめき合っている。2階にアロハシャツの小さな専門店があるので、時々いいのが入ったと立ち寄ることがあるが、3階には行かない。♪〜星の流れに身を占って どこをねぐらの今日の宿・・・。こんな古い歌があった。カルロス・ゴーンが今いる東京拘置所の小さな窓から、冬の夜空が見えているのかもしれない。星の流れに我が身を占っているか、自分を売った人間たちを思い出しては、出たら必ず復讐をしてやると思っているかもしれない。否、 出たらゴッソリと貯めた金を、もっと増やす金儲けを考えているかもしれない。地球とは人間を収容する監獄であって、全世界の人間に金儲けという労役を課している。それ故、108の煩悩がゴーンと生まれる。


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