私の仕事場の30メートル近くの処に骨董品屋さんがある。
「三希堂」という小さな店だ。
河井寛次郎の書とか、中国元の時代の骨董品とか珍しい物がある。
中でも品が揃っているのがアンティーク着物だ。今静かなブームだという。
私は骨董には全く知識がないが歩いているといつも店の前の着物が気に掛かる。
週に一度着付けを替える。
一着八千円から三万円位で素敵なデザイン、絵模様の着物が手に入る。何着か買って家に置いてある。
現代の着物は花鳥風月が主たるパターン、十万や二十万や三十万ではペラペラの着物しか買えない。
その代わりアンティークな着物は、明治あり、大正あり、モダニズムあり、アールヌーボやアールデコもある。大胆な色使い、シンプルなデザイン、シュールリアリズムもある。
種類も沢山あります |
着付けが毎週変わります |
着物というよりは絵画を見る様で楽しい。帯の組み合わせも面白い、帯は三千円から一万円でいいのが手に入る。孫の七五三にアンティーク着物はどうかと思ったが何を考えているのと一蹴された。これから育つ女の子に昔の着物はないかもしれない。
江戸紫のシンプルな着物に線画きの白い朝顔だけ、帯は黄色一色のみ、中々モダンであった。
近頃銀座のママさん、ホステスさんたちも勝った組と負けた組とは着物を見れば一目で判る。一千万以上もする総絞りの着物とか、辻が花風仕立て物は勝ち組、レンタル着物でナフタリンぽい臭いがするのは負け組、見栄と虚飾を生き甲斐にしている夜の蝶達もこんな不景気は経験した事がないと泣きが入っている。
三希堂さんご夫婦はとても仲良い夫婦、今ある企画を協力してもらっている。
先日ガマガエルの置物を写真に撮りたいのであるかと聞いたら、奥さんがお店にはないけど私がいつも新聞を配っている家の庭の池の側に確かガマガエルが置いてあった様だという。申し訳ないけど借りれないかなと聞くとちょっと自転車で行って来てあげると言ってくれた。
中々見つからず困っていたので私はちょっと出掛けるけど会社の者に連絡しておいて下さいとお願いした。そうしたら見つかったら私のお願いも聞いてといわれた。
何?と聞くと聖教新聞をとってくれるかだって。新聞配達の意味が分かった。
その場はお茶を濁しつつ立ち去って暫くして会社に電話すると、ガマガエルじゃなくて亀だって言ってましたという伝言。
忌々しいよりイボイボしい。
骨董品の数々 |
そうか三希堂にいつも数人集まっているのは学会の人たちだったんだ。
それ以後私は折伏され続けている。仕方なくアンティークの着物と帯を買った。
中々にいいが着てくれる女性がいない。
着物好きの女性が申し出てくれればお送りします。
その代わり一度デートする事、ただし誰から見ても美人である事。