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2014年3月26日水曜日

「少年と少女を守る者」




ある年、私は横浜少年鑑別所にいた。
といっても私が入っていたのではありません。

高校時代の友人が日本テレビの報道番組のプロデューサーをしていた「聞け非行少年の声」という政府提供の番組のレポーターとしてお前やってくれというから、俺でよけりゃと引き受け、二日間起床から就寝までレポートした。

ある少年はただひとつの物を盗んだだけで少年院送りとなった。
ションベン刑といえる小さな犯罪であった。
身元引受人がいれば保護観察処分であったがその人間がいなかった。
少年は四国から出て来ていて両親はおらず、親戚は知らない身であった。

ある少女はわずかなお金を盗んだ。二度三度と捕まっていたので少年院送りとなった。
親がそれを求めた。お金持ちの家の子であった。
少年院で治してやって下さいと審判官の前で頼んだという。

少女にインタビューすると、あのクソババア出て来たらぶっ殺してやると言った。
学歴を自慢し、気取っている父と母を困らせてやりたかったから友達のお金を盗んだのだ。

三月二十五日夜帰宅しテレビのニュースを見ると、今や過去の人となった前東京都知事の猪瀬直樹が、地検の取調べで五千万円は本当は選挙の資金で借りました。
嘘ついてごめんなさい、だからブタ箱にはいれないでと全面降伏し、結局在宅略式起訴となるというではないか。

なんだったんだあの大騒動は、法の下では平等に裁きを受けなければならないのに、これにて一件落着となった。
このニュースを見ていて、鑑別所で会った少年少女たちを思いだした。
千円、二千円で少年院に行く子たちと余りに違う大人たちの行いではないか。

謝って済むなら警察はいらねえんだよ、なんて少年少女をパクッた警察官は吠える。
前知事がどうやって謝ったかは知ることは出来ないがきっと取調べをした検事たちは、ザマーミロと溜飲を下げていることだろう。

それともチクショウ、ブタ箱入れたかったが上からまた押さえ込まれてしまった。
虎ノ門の一杯飲み屋でヤケ酒とタコおでんで悔しい一夜を過ごしたやもしれない。
法の下に正義なんてネエーんだよなんて悪酔いしているやもしれない。

最近行かないが虎ノ門に「升本」というタコおでんが評判の店があった。
そこには“やけ”に法の番人たちが来て“ヤケ”酒を飲んでいた。

一人の人間がヤケッパチになって密告しなければ、五千万は何事もなく前知事のポッポに入り、オイラの天下だ、ガッポリ行くぞ東京オリンピックへとなっていただろう。
せめて「老年鑑別所」位へは入れないと少年少女たちへ申し訳ないだろう。

ところでとんと名が出ないが舛添要一都知事は何してんだろうか、きっと自民・公民のいいなりなのだろう。八万だか十万だかの養育費を払わないので訴えられていたのだが(当選したから払う事にしたのかも)前妻が生んだ我が子は障害を抱えているというのに、ケチな野郎だぜというより、語るに足らずの男だ。
警視庁はこの男の権力下に在る。

親たちに告ぐ、少年院に送って非行が治ったという話は殆ど聞かない。
こんな事件を起こしたのは、私たち親が悪かったのです。
少年院だけはご勘弁をと親が審判官の前で土下座したら一度は送られないで済む。
子を救うのは親の愛でしかない。権力やお金では絶対に解決はしない。

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