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2015年6月26日金曜日

「未練心に…」





作詞家・横井弘さんが死去したという記事が昨日の朝刊に載っていた。
八十八歳というから米寿である。
横井弘さんの名を知っている人は音楽関係以外の人ではかなりの作詞通といえる。

横井弘さんは大ヒットを世に出した。
この詩を読んだら、あっ知ってる、唄っているはずだ。
で、代表作を二つ書く。

♪〜惚れて 惚れて 惚れていながら 行くおれに 旅をせかせる ベルの音 つらいホームに 来は来たが 未練心につまづいて 落とす涙の 哀愁列車…
今は亡き三橋美智也さんが唄った名曲「哀愁列車」である。

その昔私は酒を飲んでいる時、こんばんわといってギター片手に店に入って来た流しの歌手にこの歌を唄ってもらった。
何!知らないだと、それじゃこれはどうだ。

♪〜下町の空に かがやく太陽は よろこびと 悲しみ写す ガラス窓 心のいたむ その朝は 足音しみる 橋の上 あゝ太陽に呼びかける…
倍賞千恵子さんが今も日本のアチコチで唄い続ける名曲「下町の太陽」だ。
この歌を知らない人は十代か二十代だと思う。

♪〜下町の恋を 育てた太陽は 縁日に 二人で分けた 丸いあめ 口さえきけず 別れては 祭りの午後の なつかしく あゝ太陽に 涙ぐむ。

初恋に胸をトキメカした頃を思い出しませんか。
好きな子が縁日に来て浴衣姿で金魚すくいや水飴をなめていた姿を。
目と目が合ったその夜はきっとまんじりともせず起きていたはずです。
横井弘さんの詞は印象派の絵のようであり、写実画のようでもある。

この頃は詞のいい曲がありません。覚えられない詞ばかりです。
♪〜泣いて 泣いて 泣いているのを知らぬげに 窓はふたりを 遠くする 見返れば すがるせつない 瞳(め)のような 星が飛ぶ飛ぶ 哀愁列車…。
さようなら横井弘さん。私はずっと未練心につまづいています。

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