ページ

2010年8月3日火曜日

人間市場 嘘でも市


嘘でも信じたい、嘘でも美しくなりたい、嘘でも若返りたい、嘘でも痩せたい、嘘でも死にたくない等人は男女変わりなく願う生き物である。

私の仕事場の直ぐ近くに変身専門ショップがある。
入り口に一枚のポスターが貼ってある。女性のシワシワの顔がツルツルになった使用前、使用後の写真である。何でも顔のシワを取る専門ショップとの事。好奇心が強い私はあんまり嘘まみれのポスターなので一度中に入った。

女性が一人居た、当たらない手相占いみたいな中年女性だった。
何ですかと聞かれたのであのポスターあまりにも嘘過ぎない?あんなにシワ取れる訳ないでしょうと言うと、あっあれは印刷で修正したのよと来たもんだ。そっ、そうだろうどうりでと次の言葉が出なかった。

私達のビジネスは嘘で夢を叶えてあげるのよ、一時でもシワシワの顔がツルツルになればと思う希望を満たしてあげればいいの。本人だってマサカ本当にツルツルになるなんて思っていないんだから。占いと同じ当たるはずがないと判っていても行動するでしょ、あれと同じ。化粧品やビタミン剤と同じと来たもんだ。
その開き直りにすっかり感心してしまった。

ビタミン剤といえば新潟大学教授、岡田正彦氏が「ほどほど健康術」という一文を書いていた。何でもビタミンには元気の素というイメージがあるが、ビタミンは体内で潤滑油の様な動きをしていてこれなしでは生きていけないが、エネルギー源ではないため元気が出る事はないという。

ビタミンは13種類あるが健康な人が日常的に補給し病気を予防で出来る訳ではない。
大規模調査のデータを見る限り目が良くなったり、毛が生えたり、神経痛が治ったり、肌がすべすべになったり、風邪に罹りにくくなったり、心臓病の予防になったりという効能は認められない結果が出たという。

ビタミンは数ヶ月分の必要量が体内に備蓄されているらしい。取りすぎたビタミンは体外に排泄されるか、体内に蓄積されて副作用を起こすかのどっちかしかないのだ。
人間の体は余計な事をしなくとも生きていけるよう、上手くできているのだ。
高いお金を出してビタミンABCを買って毎日飲むのは、高いおしっこを出すための手段でしかないのだ。

ただ外国のある調査によると八万人の医師の内三割もの医師が習慣的にビタミン補給をしているらしい。シミが取れる、若返れる、ツルツルになる、シワがなくなる、エネルギーが沸く等につられて買い求める、ちなみに私は一切飲まない。

近所のクリエイトという大きなドラッグストアに行くとカゴに何種類ものビタミン剤を買っている男女が多い。それを止めるだけでかなり家計は楽になる。
回転寿司2回分、焼肉2回分、ファミレス2回分、ディズニーランド1.5回分位は浮くと思う。


あっ、あの変身ショップに女性が入って行くではないか。
一人、又一人。狭い中に何万も何十万円もかかるのに、絶対シワシワは直らないのに、ツルツルにはなれないのに、そもそも土台が良くないのだからと声を掛けたいが夢を見たいと思っている人たちなんだからいいんじゃないのと一枚のポスターを見直した。

昔を思い出した。一日にユンケル黄帝液を二本も三本も飲んだ日々があった。
何か元気が出る気がした。徹夜続きの中でのデートの前などは奮発してゴールドを飲んだものだ。あんまり役に立った記憶はない。ずっとユンケルを飲んでない。何故だろうかその答えが分かっているだけに哀しい。

シルバー世代の友人と飲むとかなり切ない話となる。
盛り上がってシュンとなる。たちあがれ日本ていう政党名哀しいねと相槌を打つ。そして必ず回春剤やビタミン剤の話になる。幸い私は友人達に勝っていると思う。

ただし少しだけかもしれない。ずっと現役の恋愛をしていればきっと嘘でもたちあがるのだ。人が人を愛せなくなった時人生は終わる。

0 件のコメント: