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2010年8月23日月曜日

湘南の嵐便り 「デバ亀とサザエのつぼ焼き」


ごく普通の亀は日光が大好き。
必要な体温は太陽から得ています。
ほ乳類や鳥類たちとは違うのです。光は殺菌効果や骨や甲羅の成長に欠かせないのです。

ところが湘南の夏の夜には暗闇が大好きな亀が大量に出没します。
その亀の名を「デバ亀」といいます。公園の植え込みの中や海岸の防砂林の中、砂浜に上げている漁船の下などにヒッソリジックリ首を出し、目を輝かしているのです。

つまりは若いカップル達の愛の行為を覗くのです。
カップル一組に数人なんというケースもあるのです。住民が持ち回りで「デバ亀」狩りをする日があるのです。勿論若くないカップルも「愛しのエリー」なんか口ずさみながら若き日を思い出したりしているのです。

「デバ亀」をしていた奴と海辺のおでん屋でバッチリ出会った事があります。
その夜、私は海辺のサイクリングロードを走っていました。自転車の灯りの向こうに地引き網をする漁船がありました、そこに黒い影がモゾモゾゴゾゴゾしていました。
自転車に装着してある懐中電灯で、誰だ、何やってんだ(判っているんですが)と言って照らし出しました。黒い鞄で顔を隠し砂浜を走って遠のいていきました。

私はおでん屋で一杯飲むつもりだったのです。
私が店に入り、ちくわぶ、はんぺん、ウインナー巻き、コンニャク&鰺のタタキを頼んで小生ビールをグイと飲むと間違いなく浜辺に消え去った「デバ亀」です。

私から五席離れた処に座りました。
生ビール下さいと言ってから砂だらけの足許を手で払っていました。

私がマスターにさっき「デバ亀」を一匹見つけたよと言ったら生ビールを持つ手がドキッと止まりました。体がヤバイ早くこの店を出なければと言っています。
でも直ぐ出たらやばいとも言っています。マスターがおでん何かと言うと、ハイ、エーと、シドロモドロです。

よしこってり搾ってやろうと心に決め、サザエのつぼ焼きを追加したのです。

湘南に来た人はくれぐれも「デバ亀」に気をつけて下さい。
湘南の亀は暗い処が大好きですから。





えっ、その男はどうしたかって?そのおでん屋の30メートル先は交番なのです。
つぼ焼きの中身が偶数なら今夜は見逃し、奇数ならお巡りさんの処と決めました。


つぼの中の最後のはらわたを箸でつまみ出したら12個でした。

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