スポニチより |
四月二十三日夜。
ボクシングスーパーバンダム級世界タイトルマッチ、挑戦者長谷川穂積が7RTKOで敗れた。三階級制覇の壁は厚かった。
長谷川穂積はかつて最強の伝説のチャンピオンであった。
三十三歳という年齢、厳しい減量から来る体力の回復力の低下がやはり本来のフットワークとスピードであるパンチを失わせていた。
パンチを見切る反応力が鈍っていた。
父親と愛妻、息子二人の前で長谷川穂積は血まみれになって散った。
眼底骨折、鼻骨骨折をしていて病院に送られた。
何も食べず、水も飲まずボクサーは自分を追い込んで行く。
一発のパンチで相手を殺すかも知れないし、一発のパンチで死ぬかも知れない。
減量は厳しい、1g、2g、3gのために計量の時、髪の毛や脇毛まで切り落とす者もいる。
ボクサーはそれ程までして、何百発のパンチを浴びる。
私がボクサーが聖なるスポーツというのは、リング上にその男の夢と浪漫と極限の自己愛を見るからだ。美しい花が散っていった様に長谷川穂積は美しく散った。
試合後のマナーは実に見事であった。
ボクサーは私たちに、あなたは仕事に血を流していますか、命をかけていますか、そう問いかけている。
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