「麻生哲郎さん35周年」
10月27日、ステキなパーティの出席者は、私を含めて21人だった。山形県旧荘内藩主酒井家18代当主酒井忠久様、ご夫妻もいらしていた。私の隣りは、岩谷産業元社長夫人、岩谷紀子様、前には国立音楽大声楽担当教授秋山理恵様、山梨県勝沼にてワイナリーを経営する中西昇様ご夫妻、住友林業元会長大西和男氏夫人もいらしていた。幅広い麻生さん夫婦のおつき合いを改めて知った。この人たちの中に私がいていいのか、と思う私がその席にいた。水彩画の達人にして、名エッセイスト。86歳になっても新作に挑みつづける麻生哲郎画伯とは35年近いおつき合いになる。名コピーライターでもあった。奥様は高名な料理研究家。娘さんは雑誌の編集長。田園調布に居を構えるセレブである。私とは住んでいる世界も違い、教養度においては比較しようもないほど大差があるのだが、なぜかおつき合いしてくれている(そもそも私に教養はない)。麻生哲郎さんは故郷山形県鶴岡を愛し、パリを愛し(フランス語、英語堪能)、阪神タイガースを愛する。全身知性と教養のおだやかな反権力の人。和菓子の虎屋さんの社長に、その作品を愛され京都の虎屋ギャラリーで個展を催した(このギャラリーは販売せず、虎屋の社長が気に入った作家しか個展は行えないという)。京都御所の前すばらしいギャラリーだ。もちろん個展は見に行った。京都の建築物を描き残してほしいと依頼され、2年後ぐらいに発表するとおっしゃった。闘志満々の画伯である。「é」というタイポグラフィーが画集の表紙に、黒文字でガツンとあった。これはフランス語で「絵」のことであると説明された。パーティ会場の六本木のレンチレストランの名が「ÉdiTion」であった。大切なお客さまなのでと、エッフェル塔がつくられていた。そして「é」の文字も。オーナーシェフはKoji Shimomuraさん、すばらしいフレンチで、オーナーシェフは気さくな人であった。二ツ星レストランであった。無教養な私を、主人の大切な友人ですと、奥様から紹介されて、恐縮の極みであった。娘さんからデザートの時にスピーチを頼みますと言われていたので、頭の中で何を話すかと考えていた。たくさんあるナイフとフォーク、それにスプーンの使い方もドキドキと考えていた。徳川家四天王の一人であった、酒井家の18代目は、やはりお殿様のように堂々として独特の気品があった。山形県鶴岡市にある、致道館の館長をされている。さらに日本美術刀剣保存協会の会長、刀剣博物館の館長もしているとのことであった。庄内藩は戊辰戦争で徹底的に攻められ、苦労をしたという歴史の話をされた。致道館には藤沢周平さんや、満州国をつくった石原莞爾将軍など郷土の出身者が飾られている。小澤征爾さんの二文字は陸軍大将板垣征四郎の「征」と石原莞爾の「爾」からだと最近知った。指揮者小澤征爾さんには、日本陸軍の音楽が流れているのだ。知ってビックリであった。パーティは3時間余でお開きとなり、記念撮影をした。水彩画の達人、麻生哲郎さんの名を憶えておいてください。2年後ぐらい、京都御所前、虎屋ギャラリーできっといい絵が見れるはずだ。そのときは、ぜひご覧いただきたい。
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