「公園にて、ゲーカツ」
「オバアちゃん長寿のヒケツはなんですか?」聞けば、「むずかしいことを考えないで、何でもおいしく食べて、よく寝ることです。ウァハハハ」と笑った。「オジイさん長寿のヒケツはなんですか?」聞けば、「まい日一合半の酒を飲んで、何でも食べて、スケベでいるこっちゃ、ギャハハハ」と笑った。現在日本中に100歳以上が7万人以上いる。人間の寿命の限界は115歳ぐらいという。106歳の女性が一人元気でいるらしい。オイ! 昆虫じゃねえんだから、キャベツばかり食べてんじゃないよ。「キャベツ健康法」があった。さっきからメソメソ泣きながら、玉ネギばっかり食べてんじゃないよ、マッタク。「玉ネギ健康法」。何、やってんだよ、ボチャボチャ赤いのおっことして赤いウンコがでるぞ、赤いのが。「トマト健康法」。イロイロあって、みんな忘れられた。健康のためなら死んでもいい。といった「サンプラザ中野」というミュージシャンは30数キロ減量に成功した。こんな意志の強い人は数少ない。たぶん元気で活躍中のはずだ。私はオバアちゃんやオジイさんと話すのが大好きなので、家の前の公園のベンチで時々会話する。「アンタ、人相も悪いけど、口も悪いわね、ガハハハ」と笑われても話す。「オバアちゃん、いつも元気でいいね。何食べてんの?」と聞いたら、「天ぷら大好き、コロッケ大好き、鳥のから揚げ大好きだ」と言った。「オバアちゃん、脂っこいのばかりじゃん」と言えば、「コテコテしたのが、私の体には合ってんのよ。野菜ばかり食べていたり、魚ばかり食べていたら、パサパサになっちゃうわよ。揚げたてのコロッケが食べたいんだけど、最近肉屋さんがなくなっちゃったからね。メンチとか、ハムカツもいいし、ゲイカツなんか娘の頃よく食べたわよ」。「ゲイカツとは鯨(クジラ)のカツレツ」。「ソースをたっぷりかけてさあ、ジョウジョウしみこんでアツアツ言いながら、新聞紙にはさんで食べたのよ。アンタ人相悪いけど、ゲイカツ食べた?」「食べたよ、食べた。新宿の西口でね。競輪場でもよく食べたよ」「へえ、アンタヤクザ屋さん?」「違うよ、違う。そこに住んでんだよ。」「アラッソウ、初めて会ったわね。アラッあの人また速足で走っている。食後の散歩ね。血糖値が高いんだって」。オバアちゃんは口達者で、すこぶる陽気で元気がいい。「オジイさんはいないの?」と聞いたら、「運動が体にいいからと言って、毎朝歩いて今は昼寝中」「いくつ?」と聞いたら、オバアちゃんより三つ年上の八十二歳であった。こんな何気ない時間を楽しむことがすっかりない今日この頃だ。週末といえば雨ばかり。ポストには早々と年賀状はやめることにしましたのハガキ。来年はナニドシだったっけと思うが分からない。「オバアちゃん長生きしなよ」と別れて家に入ると、ピンポーンと音がする。「誰!」と開けると一人の女性(56歳ぐらい)「あのォ〜、外の木柵が壊れてますけど、お直ししますよ」と言う。台風15号で半分壊れてしまった。意外にも19号はやけに静かだった。「いいんですよ、ボロボロになっているのも、風情だから」と言うと、ポッカァ〜ンとしていた。天気のいい日曜日が、来ないかなと思っているのだが、今週末もあやしいようだ。健康に気をつけている人ほど、実は早死にしたり、病気のデパートになると、不健康が自慢のお医者さんが言っていた。基本的に65歳以上は長寿だ。私は健康なんてどうでもいいから、グッスリ眠りたい。今日は、超不眠症になって25周年記念日だ。ノートを見ると地獄の始まりと書いてあった。
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