先週見た「NHKクローズアップ現代」は、衝撃的だった。アパレル業界で売れ残った新品の衣料品を大量に廃棄してた。日本だけでもその量は、推定年に1000万トン。小林旭の大ヒット曲に「ダイナマイトが150万トン」というのがあるが、気の遠くなる衣料品が焼却処分されたり、闇の業者のような人にマトメテドン!みたいに二束三文で売られる。イギリスの高級ブランドのバーバリーなどは服や香水など約40億円相当を燃やして捨てていた。売れ残りの在庫をそのまま倉庫などに置いていたら、莫大な経費がかかる。高級ブランド品がバンバン捨てられ、バンバン値切られて行く。これは売れ筋と思って大量に生産してもアテが外れて在庫の山となる。ファストファッションの商品などはハナから安く作っているので、安売セールでさばく。それでも残ったらシュレッダーにかけるがごとく処分する。高級ブランドを大量に持ち込まれた業者は、まずは衣服などに付いているタッグをバチンバチン切ってそのブランド名を消す。需要と供給のバランスが完全に狂っているのが、不況にあえぐアパレル業界なのだ。ゾゾタウンの前澤友作なる者が、剛力彩芽を恋人にしたとか、宇宙ロケットで旅するなどと言ってるが、株価が下がり続けていたから、その対策と思えばしてやったりだろう。その露出費を広告費に概算したら、ん億円、ん十億円になるはずだ。実にしたたかなのだ。バーバリーとライセンス契約をしていた三陽商会は、バーバリーに撤退されて、赤字続き、大量のリストラをしている。その陰でバーバリーの商品が大量に廃棄処分されている。一見時代の先を行っているような高級ブランドも、実はコンサバであって時代遅れの経営をしている。これからはスーパーブランドと、ファストファッションになる。一方は商品作りにプライドをかけている。一方はプライドなどは一切ない。アパレル業界の中でいちばん創意工夫しているのが、スーパーブランドで、いい品をより高く売る。一方は安い物をより安く売る。「私たちの商品はとても高価です。それは高級品だから」アメリカの広告の中にこんなコピーがあった気がする。先日白いシャツにシミが付いてしまったので、新橋駅前の安物紳士服店で6,000円のシャツを急いで買った。通気性がすこぶる悪くてすぐに脱いだ。寒くなって来たから暖かいかもしれない。「ファッションに強い国民になろう」PARCOのスタート時の広告を思い出す。(文中敬称略)
2018年9月26日水曜日
2018年9月25日火曜日
「タイガーウッズとハイヒール」
昨夜禁を破って23日振りにいつものグラスに酒を入れた。禁酒中飲まずにいた、オールドパーの貴重な残り分をオンザロックで。あと7日と心に決めていたのだが、大ファンであるタイガーウッズの優勝のニュースを見て、涙がたまり興奮した。大ギャラリーと共に、18番ホールに向かうウッズ、最終日には決まりの黒のスラックスに赤のポロシャツ、勿論ナイキのマーク付きの黒のシューズ、やっぱりナイキのマークはタイガーウッズがいちばん似合う。女性スキャンダル、腰痛の手術5回、薬物の副作用、歩くのもままならない体から遂に復活した。アメリカのニュースでは、スポーツ界において歴史上最大の復活とアナウンサーは叫んだ。日本と違って、アメリカは失敗に対して寛容である。大ファンの私は乾杯をしなければならないと思い、オールドパーを飲んだ。久々にノドから食道、そして胃袋に染み込むウイスキーは、たまらなくしびれた。全身がこの味を待っていたぞと声を上げた。文豪永井荷風は、名作「断腸亭日乗」の中で男の人生の三楽を書いている。(一)読書、(二)好色、(三)酒。(一)と(二)は駄目だが、(三)は楽しんで来たし、これからも楽しむ。タイガーウッズは病的に(二)を楽しんだがあくまで病気の一つであった。ウイスキーは1杯だけにした。その後1本の映画を見た。メキシコ映画「ハイヒール」音楽は坂本龍一さんだった。官能的に唄って大歌手となっていた母親、若い頃はたくさんの男と浮名を流した。娘に会いにメキシコに帰って来た。娘は27歳になりテレビ局のキャスターになっていた。そのテレビ局の社長はかつて母親の愛人であった。娘はその社長と結婚していた。メキシコ独特の極彩色の世界、母と娘の愛情ともつれ合う感情。タイトルデザインが抜群に良かった。秀逸だったのは女装した男が大歌手の母親のセクシーな歌い方を真似をして唄うシーンがよかった。シャネルの服、バッグ、メガネ、ココ・シャネルはココというシーンに生きていた。坂本龍一さんの音楽もさすがにいい。映画は思わぬ結末を呼ぶ。
2018年9月21日金曜日
「熱量と熱血の人」
「ソノマ」 のワインに夢とロマンをかけている知人のことを書いた次の日。つまり昨日夜岡山の名産のぶどう、“ジャイアント”を、お土産にと持ってきてくれた人と会食した。歌舞伎座前で午後6時に待ち合わせをしていた。この日午後2時に名優「ベンガル」さんのマネージャーの方と会って、隣にある文明堂の2階でお茶をした。「四万十映画祭」で“最優秀賞”を受賞した短編映画に、ベンガルさんが親分役で出演してくれた。トロフィーのレプリカを制作していたのだが、ベンガルさんにお渡しするのができていなかった。マネージャーの方にベンガルさんはどんなお酒を飲みますかと前日に尋ねたら、赤ワインだけにしていますと言った。で、「ソノマ」の赤ワインを知人から送ってもらってそれを渡し、御礼を申し上げた。ベンガルさんは、明治座で「氷川きよし」の公演に出演するので、稽古中だと聞いた。一か月のロングラン公演とか、「氷川きよし」恐るべし、前売りチケットはほぼ完売であった。ということで昨日は歌舞伎座前に二度行った。岡山のでっかいぶどうをもって会いに来てくれたのは、倉敷の美観地区で有名な「林源十郎商店」の社長「辻信行」さんだ。辻さんは「三宅商店」の社長もやりつつ、超人気カフェ「水辺のカフェ」の経営もしている。51歳京都教育大学を出て小学校の教師をしていた。身体も声も大きいが、夢とロマンもでっかい。倉敷の若きリーダーの一人である。林源十郎商店は代々続く薬問屋さんであったが、今では若い人たちの集まる人気ショップである。いろんなものがある。ワークショップもある。ジーンズショップは高価だが人気がある。辻信行さんは、現天皇・皇后のテニスのご教授をした、日本テニス界のパイオニアの人が住んでいた屋敷を(私が3年前くらいに行った時は、広々とした廃屋であった)ここに案内してくれて、ここを買ったんですと言った。ん億円をかけてここに“ジャム”や焼き菓子などをつくるんですと言った。岡山は果実の名産が多い。“村おこし、町おこし”少し形が悪いとか、少し傷があると店頭に出せない、膨大な果実を買って、いろんなジャムや他のものをつくるんです、 これによって農家は丹精込めて作った果実を捨てないで済むのですと言った。辻信行さんの強烈な熱量と、大学を出て岡山以外の46都道府県を野宿しながら訪ね歩いた、飽くなき探求心(まるで歩く巨人と言われた民俗学者宮本常一さんと同じ)に触れさせてあげたかった。辻信行さんは「ジャム」を自分で目利きしたところに置いてもらうためにとか、コラボレーションをするために上京を重ねて、すでに有名店に出している。ギフトにも広げている。パッケージは白が基調なので、冠婚葬祭にも選ばれていると言った。おしゃべりでは負けない私が、ほとんど無口に近い状態になるほど、壮大な夢とロマンを熱く熱く語った。気がつくと3時間以上経っていた。教育者としての志もあったので、人を育てたいんですと言い、老人たちの知恵や経験を活かして、活性化もしたいと言った。この人こそ地方創生を実行している人であった。とにかくいろんなことをエキサイティングに語った。お金の話はただ一回きり。ところでジャムってどういう意味と聞いたら、期待の新人がすぐにスマホで調べてくれたら、 英語では “いろんなものをごちゃ混ぜる”みたいですと言った。そうだなジャムの中って、ジャズのセッション 、(ジャムセッションと同じ)みたいに、ジャムの素材が瓶の中でセッションしているみたいだ、それにジャムは色々美しい色をしている。美しいいろんな音と同じように。辻信行社長にお願いをした。是非この期待の新人にジャムのポスターを制作させてやってくださいとい言ったら、ぜひお願いしますとなった。9時半頃、店の外に出ると、雨が降っていた。辻信行さんはガバッと私をハグしてきた。私よりはるかにでかい180センチ位、そしてゴッツイ手と握手をした。近いうちにいざ岡山へ期待の新人は行くことになる。人を育てるのは私の大事な仕事である。倉敷美観地区に行ったらぜひ林源十郎商店へ。三宅商店へ。そして水辺のカフェへ。私の名前を出せばきっと何かをしてくれる。半日いても飽きないほど、楽しいショップである。熱量を持っていない人は夢を形にできない。今日も長くなってしまった。いい週末を。
(林源十郎商店)
(新開発のジャム)
(水辺のカフェ)
(ジャムを作る三宅商店の民家風工房)
2018年9月20日木曜日
「久々の仲」
人間の嫌な性格は変わるか、と言えばそうは簡単には変われない。が、変わって行くことはできる。その理由は、人間は生きている限り一年に一歳、歳を取る。月日が経って行くにつけ少しは変われる。一昨日昼12時〜2時、溜池交差点のすぐそばにある、世界的に有名なローストビーフの店「ローリーズ」で、何年ぶりかで知人とランチをした。この知人はかつて業界3位の大手広告代理店で営業部長をしていた。今では有名な紳士服の会社の仕事をずっと一緒にした。その代理店にいたクリエイティブディレクターとコピーライターと共に。ある地に新装された本社ビルがあった。グイグイ成長をしていて、さらに、さらに知名度を上げたい。それまでは日本で一番大きな代理店が受け持っていたが、オープンとなりその先の広告戦略のコンペがあった。(確か5社だと記憶している)その時の担当部長が知人だった。なにしろこれ以上ないくらいの心配性であった。ウルセイ静かにしろ、と私が言うくらい、細々、細々と心配をした。コンペに勝てば数億円の仕事になる。当時長渕剛の“とんぼ”が流行っていて、私は会社の若者の運転する車の中でガンガンとんぼをかけていた。駐車場についても未だ曲が終わってないからと、音楽を流していた。私は全く無法者のように振る舞う、とびきり言いたい放題の嫌な奴だった。私はブログで自分の仕事内容とか、関わった人たちのことはつとめて書かないようにしている。だが知人が代理店を早期退職してから10年ぶりくらいに会って、劇的に心配性な性格が変わっていたのに感動したのだ。プレゼンのコンペは一発で勝利して何年も仕事を続けさせてもらった。(広告代理店には数十億が入ったことになる、私には入らない。)アメリカ、イタリアなどにロケに行った。社長と共にのこともある。フィルムの監督は、日本の最高峰で、この人よりCM界の受賞を授かった人は、おそらく今でもいないだろう。恐ろしい監督で有名であった。心配性の知人は撮影の現場でも細々と心配した。なぜ久々に会ったか、それは一冊の本の出版であった。知人は食とワインを通して世の中を変えようとしていたのだ。すでにカリフォルニアのその世界で、知人の名を知らない人はいないという。私はワインは全くオンチである。ただナパヴァレーというワインの一大産地名は知っていた。知人は今ナパヴァレーから「ソノマ」 というところのワインを広げている。本の題名は「ソノマのワイン休日」世界文化社から出版された。写真・文も知人であり奥さんがサポートしていた。副題に「カリフォルニア・ワイン発祥の地」とあった。文章がとてもいい。実に謙虚で控えめで読みやすい。食とワインの関係、「ソノマ(ナパヴァレーのすぐ側、サンフランシスコに近い)」の観光ガイドにもなっていて、読んで写真を見ると今すぐにでも行きたくなる。カリフォルニアの太陽は上からでなく、横からくるんですよと知人は言った。サイン入りの本を送ってくれたので、その御礼にランチ(現在禁酒中なので)しようよとなったのであった。「ワインツーリズムの立役者」と呼ばれていると書かれている。映画「サイドウェイズ」の作品はワイン好きにはたまらなくいい。知人はナパヴァレー・アドバイザーとして参加している。ローリーズでヤア、ヤア久しぶり本をありがとう、素晴らしい本だよと言った。写真・文・地図、解説、観光ガイド、抜群だよと言った。かつての心配性的なものはなく、穏やかで、やわらかで、相変わらずオシャレでいい歳の取り方をしていた。イタリアミラノではジョルジオアルマーニ、をホテルの部屋いっぱいに買いまくっていた。むかしの仕事の話は別れ際の数分間だけ。金の話は一切なし、これはいい時間だった。現在日本とカリフォルニアを行ったり来たりして、日本に「ソノマ」のワインを輸入販売している。お世話になった方に赤ワイン二本、赤と白を一本ずつ贈りたいと言ったら
、すぐに手配してくれた。私に対してずいぶん変わりましたね、本当に変わったなあ、ガンガンバンバンしていたけど、やさしくなったと言った。それが何を指すのかわからない。2時半に全日空ホテルで、ある政党のふたりの若手議員が相談事があると言うので、もっと話したかったが、また会おうぜと言って別れた。ワイン好きの方、ぜひ「ソノマのワイン休日」を読んでみてください。紳士服の会社の社歌を頼まれて、作詞故阿久悠さん、作曲は小林亜星大親分に頼んだ。今も歌われているか聞きそびれてしまった。社長が芥川賞の選考会場で有名な築地の料亭「新喜楽」で、社歌完成の席を開いてくれた。その時入り口で花束を持っていた若者が、今の社長になっているとか。月日は長々と経っている。 人は変わって行く。2018年9月19日水曜日
松坂桃李のヒップ「運動」
後味の悪い映画を見た。レンタルしてきた自分が悪かった。15本借りてきていた。新作のコーナーに「娼年」というのがあった。原作石田衣良であった。どうせたいしたものではないと思っていたが、ひょっとしてと思って借りた。天才中野裕之監督のピースな映像(私が見た本年度ドキュメンタリー部門NO.1)を見た後は、心が清められ洗われた。万葉集を生んだ日本の風景は、どれほど美しかったのだろうかと思った。「娼年」はこのまるで逆であった。正常な人が見るとウソ、ホントヘンタイ(?)と言うだろう。主人公(松坂桃李)は夜BARでバイトをしている。客の中に中年の女性がいる。この女性は見た目のいい若い男を見つけ登録しては訳ありの人や女性たちに売る。娼婦ではなく「娼年」として。渋谷、新宿、赤坂、鶯谷のラブホテル街のローキー(暗い)な映像の中で、松坂桃李が変態のお客の相手をする。若い女性や中年女性から老人女性まで、映画の半分くらいは松坂桃李のプリプリの全裸のヒップが激しく動く。動きすぎるくらい動く。お客の反応がいいとランクが上がり、ギャラも上がる。言葉が話せない娘をよろこばせてと頼む親、自分は不能となったから妻を思い切りイジメてしてくれ、それをビデオで撮ると言う夫。少女の頃好きな少年の前でじっと我慢していたら、おもらしをした。そのトラウマで、人におもらしをするのを見てもらわないとダメというインテリ中年女性等々。大文豪谷崎潤一郎も変態だったらしいが、それを文学まで極めた。が、石田衣良はとても及ばない。文学性、芸術性が会話の中にない。松坂桃李はよくこの映画の仕事を受けたと思う。 CMに彼を起用している会社にとって、決して気持ちいいものではないだろう。文豪と言われた人はほぼ正常でない。異常性こそが文学である。芸術とは、異常を表現したもののことを言う。ただ美しい、ただ精密、ただ見たものを描くのは、ただの技術に過ぎない。 友人の写真家が過日、団鬼六がやっていたような、女性の裸体を太い縄で縛り上げ、吊るし上げ、ローソクの火をつけ、ムチで叩くなどの
写真を撮る仕事を頼まれて撮影してきた。写真家は縛られている女性が、本当に快楽に涙している姿に、感動したと言った。たくさん入った観客は真剣であったと言う。見ますかと言うから、いいよ、そういうのはイメージしている方がいいので、現実は見たくないと言って断った。作家永井荷風は、毎日のように浅草のストリップ小屋に通った。女性たちの生態を見たくて。女性たちのいる部屋の隣の部屋を借り、壁に穴を開けてずっと覗き見していたのは有名である。そしてそれを至高の文学にした。 三島由紀夫、川端康成、室生犀星、みんな変な趣味があったと言う。(あるいは小説を書くためのものとか)映画は「娼年」松坂桃李の激動のヒップショーだった。(文中敬称略)
2018年9月14日金曜日
「霧にむせぶ夜」
昨日は東京に出ずに書かねばならない原稿を、早朝6時頃から午前2時15分頃まで書きまくった。その間昼食と夕食をとり、2本の映画を見た。「プラハのモーツァルト」と「名前のない女たち(うそつき女)」ここは映画について書かない。この夏猛暑で3人の恋人を失った。と言っても小さな池に入った3匹の赤い金魚だ。数年前こどもたちが平塚の七夕祭りですくってきた8センチくらいのが、愛情込めて育てたので、まるで鯉のように大きく育った。その数12匹、私は一匹一匹に思い出ある女性の名をつけていた。池に水を少しずつ一日中ポタンポタンとリズムよく出していたのだが、あまりの猛暑で水が蒸発する方が多く、 酸欠になってしまったのだ。朝起きて横腹を出し浮かんでいる、A子ちゃん、B子ちゃん、C子ちゃんの姿に絶句した。箱に入れ新聞紙に包んで小さな庭の片隅に埋めてあげた。お線香もあげて手を合わせた。すぐに水の量を増やしたらその後、残りの9匹は元気に泳いでいる。今一人の女性シンガーソングライターのアルバム発売(11月1日予定)のお手伝いをしている。一週間と少し前、中目黒のスタジオで撮影した。カメラマンとは時間をかけて、私のイメージを伝える打ち合わせをした。コスチュームはスタイリストがヨウジヤマモトの服を3着用意してくれた。イメージ通り、フィッティングして若い美人歌手が気に入ったものを2着選んだ。カメラマンは2000回くらいシャッターを切った。(デジタルなのでいくらでも撮れる)撮影後私のところにカメラマンがセレクションしたものが50枚届いた。歌手本人にも同じものが、さあ、私が選んだのと本人が選んだのと一致するか、バッチリ5枚選んだのが一致した。アルバムのタイトル、ジャケットのデザイン、ポスターや PR 用の企画書の言葉を生まねばならない。8曲がアルバムに入る。2曲は今月末にレコーディングをする。銀座駅に大判のポスターを掲出する。内容については後日書いて、一枚でも多く CD を買ってもらうことをお願いする。午前2時15分頃、 時計を見ると14分13秒。私は一曲の CD をセットした。3匹の金魚への供養する時間がなかったので、私の大好きな1曲を流した。A子、B子、C子へ曲は黒木憲(かなり若くして死んだ)の名曲「霧にむせぶ夜」である。3回続けて聞いて涙をためて手を合わせた。水をいっぱい出さずにゴメンヨと心の中で言いながら。とても良い曲なので、1番から3番までを書く。♪〜涙じゃないよと いいたいけれど こらえても こらえてもまつ毛が濡れる 君より切ない この俺なのさ だから笑顔がほしいのに さよならが さよならが霧にむせぶ夜♪〜会いたくなったら 夢でも会える 離れても離れても 変わらぬ心 君より激しいこの恋なのさ だから死ぬほどつらいのに さよならが さよならが霧にむせぶ夜♪〜わかってくれたら 泣くのをやめて いつまでも いつまでも待たせはしない 君より淋しい この胸なのさ だから短い旅なのに さよならが さよならが霧にむせぶ夜。人はそれぞれ忘れられない恋があり、愛があり、別れがある。いつもならお気に入りのグラスに酒を入れるのだが、まだ禁酒を続けている。現在午前3時37分46秒。いいアイディアがかなり降りてきている。あるBIGプロジェクトの企画プロデュース&クリエイティブを手掛けさせてもらっている、形になったら日本のひとつの歴史が変わる。建築やプロダクトデザインの大御所と組むことを進めている。マンション業界始まって以来、こんなクリエイティブが、というのがつくば市で始まった。物件名はCORIS(コアリス)、巨大ポスターが数点つくば市の現地に掲出されている。映像ムービーはまるでレディーガガのPVみたいな気分でつくった。感度抜群の天才的女性担当役員は即断即決で全て決めてくれた。「IQ」の高い方はぜひ現地に行ってほしい。名古屋で手掛けていた名鉄不動産の「エムズシティ神宮前」もついに13日オープンした。2つの物件が一年以上並行していた。左官の天才&カリスマ挾土秀平さんがエントランスの壁にオリジナル作品を塗る。又、ブックコーディネーターのカリスマ、BACH幅允孝(バッハ幅)さんが、ブックカフェに独自に選んだ本を選んでくれる。きっといいライブラリーができるはずだ。マンションの目の前徒歩2分で、名古屋ドームグラウンド部分約7個分の広大な公園がある。知人、友人にぜひ教えてとお願いする。すっかり涼しくなった。いい週末を。
2018年9月13日木曜日
「怒鳴り合う、ルール」
駅にあるエスカレーターの右側は、ずっと立ったままでなく、急ぎ動いて上下するのがなんとなくルールと決まっている。地下深く、深くにある路線駅はいくつものエスカレーターを使用しなければならない。それが急いで駆け上がり、急いで駆け下りるのは、実はエスカレーターに「強い負担」をかけてエスカレーターをイジメてしまうので、故障の原因になる。いずれ静止になって行くと、昨日某大手鉄道会社系のお世話になっている会社の人と、ランチしながら聞いた。へえ〜そうなんですか。なぜその話になったかと言うと、昨日朝9時50分頃新橋駅に降りて、下りのエスカレーターの左側に私は立った。さほど長くはない。じっとしていても、急いでも30秒くらいしか変わらない。私の4人後方の180センチ以上ある 大柄の七十歳くらいの男が、右側の人は急いで降りろ、ずっと突っ立ってんじゃないと大声で怒声を発した。 その男の2人前、私の斜め後のやはり178センチくらいの七十歳くらいのオジサンが、自分に対して言っているのを確認して、なんだよ急がなくたってすぐに降りれるよ、でかい声を出すな!と言った。何!バカヤロー 、オマエみたいな奴が人に迷惑かけんだよ。右側の人間は動くのがルールなんだよ、バーカ、ルールなんだよ。ともうエスカレーターの下についているところで、いい大人二人が大声の応酬となった。何もそんなでかい声出すなバカ者という声と、ルールなんだよバーカが今にも殴り合いそうに顔を突き合わせていた。ギャラリーはいい歳して何大声になってんのと、シラーとチョイ見しながらその場を離れていく。私も朝からいい歳した人間が何言ってんのと思いながら、改札口を出ていつも買って飲む、駅構内の果物ジュースショップで、ミックスジュースのレギュラーサイズ210円を買って、飲みながら歩き出した。ルールなんだよルール、バーカ、と言う“ルール”が気になっていた。で、そのエピソードを電鉄系の会社の人に聞いたら、先に書いたように、初めはルールみたいになっていたのですが、今は動いたらダメの方向になっている。エレベーターの故障の大きな原因だからと教えてくれたのだ。鉄道各社がエスカレーター上では、静かに立っていてください。そんなキャンペーンが生まれルール化するかもしれないと言った。皆さん右側でも動かずにが理想です。怒鳴り合うふたりは私服であって、二人とも髪の手入れがすこぶる悪く、寝て起きてそのまま外出してきたようであった。私はバッコバッコ殴り合ったら眠気が覚めると思ったが、つまらない言い合いだった。地下鉄は下へ、下へ、下へ。大地震が起きたらと思うとゾッとする程、地下深くの駅もある。
2018年9月12日水曜日
「フランクフルトと牛タン」
フランクフルトの女。こう書くと映画の題名のようだと思うはずだ。ドイツ人のかなり芯の強そうな女性が主人公。が昨日夜10時半過ぎ新橋から乗ってきた女(あえてオンナ)は、窓側に座っている私の隣にドーンと座った。 まるで芯がない。かなり酔っているのかダラシネェーって感じ。白いショートパンツ。白い花柄の入ったストッキング、長めの茶髪はオヤツはカールみたいにくるくるとカールされている。淡いピンクのブラウス。ガチャガチャと3種類のネックレス。両耳からブランブランと大きなゴールドの輪。足底の厚いポックリのような、白いロングシューズ。当然両腕にもガチャガチャ。チワワを大きくしたような毛むくじゃらのバッグ。人形みたいなのがいくつか付いている。年の頃は28歳〜32歳くらい。やや太め、背が低め、何しろ座り方が強烈で私の存在は全くムシムシコロコロ、で右手にフランクフルトが白い紙の中から出ている。その中から赤いケチャップの小さな入れ物、ブチュっと割ってフランクフルトソーセージの頭の部分(つまり紙から出ている部分)にベタベタとつける。 次にマスタードのような入れ物、ブチュっと割ってケチャップとの混合ダブルスがさらにベタベタと盛り上がる。座ってから品川駅までの間にそれを完了。バッグの中から器用にまるでパチンコの台みたいに、キラキラピカンピカンした 入れ物に入ったスマホを出して見始める。かなり酒臭い。私は現在13日目の禁酒中なので、昨夜知人の女性社長の博士号取得の御祝いの席でも水とウーロン茶。(肝機能がどっと出た疲れで低下。ガンマGTPは1000に迫っていた。毎年のことだから禁酒さえすれば大丈夫。) 一昨日いつもお世話になっている知人&友人と、東京都担当だった、某新聞社の記者の方が神奈川、主に川崎担当になった。知人&友人がかつて神奈川を仕切っていたので伊勢佐木町に詳しい。でもって「たん右衛門」 という牛タンの専門店で改めてヨロシクの席へ。ガァーンと衝撃、カウンターの前の透明な冷蔵ケースの中に熟成中の牛タンが、ズラリズラリと金具のフックで吊られて勢揃いしている。生々しいリアル感、 オオでかいぞ牛の舌は、よくイタリアンレストランに生ハムが吊り下がっているが、それよりもややでかい。仙台はアメリカ牛が多いのだが、この店は和牛だとか。旨い!肉厚の牛タンが柔らかく歯ごたえ十分に出る。ステーキみたいに大きい。合鴨やシイタケも出る。旨い!そしてシメは牛タン雑炊かテールスープ。私はスープ、その時日本酒一合(八海山)をコップに冷やでもらったが、一口で体はまだ飲みたくないと言った。かなり広い店、牛タンはここがNO.1かもと思った。さて、フランクフルトの女は、品川駅少し手前からフランクフルトにガブリとかじりついたが、マスタードがいきなり口の中にまとめて入ったのか、ウオ、効くみたいな言葉を発しながら、太いランクフルトにかじりつきながら、いびきをかいて眠ってしまった。身につけていたイロイロはすべてスーパーブランド品だと思う。グーグーとしてしまったので、ゆっくり観察できた。気がつくと靴を脱いでいて、その靴に両足を乗っけていた。品川駅をやや過ぎて、ガタンと揺れた時、本能的に(?)フランクフルトの残りを食べ始めた。通路の横の男二人は、サントリーの角ハイボールと、タカラ缶チューハイロング缶をしみじみと飲んでいる。つまみはイカ天揚げとうずらの燻製、一人は湖池屋のカラムーチョと、ビーフジャーキー。フランクフルトの女は、な、なんと川崎で降りて行った。ヨロンヨロンしながら。白いストッキングの足元に赤いケチャップがついていた。女はキモチ悪いのか、ホームの階段下にペタっと座っていた。フランクフルトの食べ残しをしっかり持って。牛タンの好きな人はぜひ伊勢佐木町の「たん右衛門」へ。フランクフルトは、ドイツのフランクフルトで。グェ〜としない状態で。顔をよく見ると、アナウンサーの徳光さんが女装した感じ、下半身は志茂田景樹さん風であった。
2018年9月11日火曜日
「犬猿」
「近親憎悪」兄弟姉妹とは何か、この頃ずっとこのテーマの問題を抱えている。昨夜日本映画の最新作で出色の作品を見た。とにかく脚本と編集が、抜群であった。2018年東映ビデオ製作(製作委員会の幹事だと思う)作品名「犬猿」脚本・監督「吉田恵輔」。男二人の兄弟がいる。兄は体中に刺青を入れ、街の不良やヤクザも、その名を聞いただけで逃げ出すほどの凶暴性がある。刑務所から出所してきて弟のアパートに住む。弟は真面目で一途な小さな印刷会社の社員である。父と母は別のところに住んでいる。弟の印刷会社の下請けの、小さな印刷会社を経営している。姉妹がいる。姉は太っている。会社を切り盛りしながら、父親の介護をする。食事作りから洗濯、ぬか漬け作りまでする。父親は下の世話をしてくれる姉の胸を触ってしまうほどボケている。丸太のような体を忙しく使って会社と家を守る。妹は、姉の下で働いているが身は入らない。姉と違ってスレンダーで美人であり、モデル会社に登録してタレントか女優を目指している。姉はヤクザな兄の弟が仕事を発注に来てくれてから、二枚目の弟に強い恋心を持つ。 が、しかし弟は妹の方と付き合い出す。ヤクザの兄は相変わらず暴力三昧である。いいシノギがあると脱法ドラッグの販売を始める。稼いだ金で父と母のローンを払ってやり、マッサージ機を買ったりしては、父と母を心配させる。(一体何をやって稼いだのだ、また刑務所行きだろうと。)一方姉は弟への恋心を募らせるが、妹と深い関係になったことに猛烈に嫉妬する。兄の暴力に手を焼く弟は、頼むから死んでくれよと願う。妹に私のことが好きなのよと言われた姉は、いよいよ嫉妬に狂う。この2組の兄弟姉妹の感情の動き、いろいろ起きることを同時進行的に見事に編集する。ある夜兄は3人の男にアパートに踏み込まれ刺されて重傷を負う。弟は一度はこのまま放っておけば死んでくれるとアパートから逃げ出すが、やはり兄弟なのか救急車を呼ぶ。妹は実はデリヘルとかAV女優をやっている。自分の恋する弟へ何度もメールをする姉を、バカにして弟に近づくなと言う。姉はついにリストカットして救急車で病院に運ばれる。そこに刺された兄貴も運ばれてくる。傷が治った兄は刑務所へとなる。姉は腕にリストバンドして仕事に復帰する。見捨てようとしてゴメンと謝る面会に来た弟、俺たちガキの頃仲良かったなと言う兄、傷が治った姉にパソコンの使い方やら仕事の進め方を習い始め、姉にゴメンネと謝る妹。がそれらの心はホトボリが覚めたら、すぐ元に戻ってしまう。テメェブッ殺すぞと言う兄の弟への目、あんた全然頭の中カラッポで使えないと言う姉の目、それに対し憎悪の目をする弟と妹。犬猿の仲をこの作品は見事に描いた。2組とも幼い頃は仲良く遊ぶ仲であった。兄貴役の新井浩文が素晴らしい演技であった。さらにその上を行ったのが、私は名を知らない。丸太のような体に黒いメガネをかけた俳優さんだ。日本の映画界に「吉田恵輔」がいることを記憶しておいてほしい。兄弟姉妹、同じ親から出て憎しみ合う、つまり「犬猿」の仲である。ぜひ見て欲しい本年度NO.1の映画だ。東映ビデオ恐るべしだ。あなたの兄弟姉妹は仲がいいですか。
2018年9月10日月曜日
「永遠と一日」
南に豪雨あり、中、四国に豪雨あり、大阪地方に超台風あり、東北、北海道に豪雨と大地震がある。日本中が荒乱している 。さて、東京はと言うと、電気の無駄遣いの典型、フジテレビが27時間休みなしのバカバカしい放送をしている。そのバカバカしさを時々見ている自分のバカさ加減に、ハッと気がつき何かをせねばならないと思った。クーラーの下の机の上の写真がやけに色が変わったと気がついてよく見ると、水が染み込んでいた。もう30年近く使っているクーラーが壊れて、水がポトポトと滴り落ちていたのだ。こりゃやばいと思い電気屋さんへと思ったら、もう店じまいをしていることを思い出した。街から電気屋さんが消えてしまったのだ。仕方なくなんでもやってくれるという、特別な才能を持っている人に来てもらった。う〜む、こりゃもう限界ですね。とりあえずホースの中の通りを良くしておきましたが、限界ですと通告された。もう少しだけ頑張るように頼むよと言った。休日家にいるとアレコレ仕事以外の電話が入る。そのどれもが限界に近い話ばかりだ。老人性痴呆症、不安神経症の話。詐欺にかかって泣きが入っている人。癌を宣告された人、親子の縁、兄妹姉妹の縁を切った話、義母の延々と続く長電話にマイッタと言っている人、我が家のクーラーと同じことが、大なり小なりどの屋根の下でも起きているはずだ。かなり気分がダークになったので床屋さんに行ったら、パア〜と明るく現代的にリニューアルしていた。なんだか気分が良くなった。床屋さんに行くとサッパリする。家に帰り旧作映画を2本見た。一本は「罪と罰」もう一本は「雨の朝パリに死す」。質屋のゴーツクバアーさんを殺した、人に優しい男の恋人の寛容さ。貧乏人にこそ気高さはある。「雨の朝パリに死す」のエリザベステイラーは若々しくて美しい。 この映画の中で新聞記者だった帰国兵士が、日本は天皇制を守ってやれば無条件降伏するさと 、バーボンを飲む。アメリカ人にとっては日本との戦いは、アパッチやスー族と戦った西部劇のような気分だと思わされる。その後 NHK の「藤田嗣治」のドキュメントを見た。1920年代のパリ、浮世絵から学んで生んだ、白い裸婦の絵、日本の画壇から、イヤガラセと酷評、そして戦争画家へ。壊れてしまった自分を癒した故郷の風景と愛妻、そして“フジタ”はテープに遺言らしきことを語る。命の終わりにあってもパリのエスプリは忘れていない。それでは皆さんさようならと去っていく。その後もう何度も見ている名作「永遠と一日」を見た。老詩人に一人の若い女性が聞く。「明日への日時って(?)」詩人は言う。永遠と一日。1日24時間を一人ひとりが、生きている。絵に描いたような幸せの中で生きている人は、実はいない。クーラーからの水はひとまず止まっている。
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