ページ

2018年9月26日水曜日

「捨てられる1000万トン」

先週見た「NHKクローズアップ現代」は、衝撃的だった。アパレル業界で売れ残った新品の衣料品を大量に廃棄してた。日本だけでもその量は、推定年に1000万トン。小林旭の大ヒット曲に「ダイナマイトが150万トン」というのがあるが、気の遠くなる衣料品が焼却処分されたり、闇の業者のような人にマトメテドン!みたいに二束三文で売られる。イギリスの高級ブランドのバーバリーなどは服や香水など約40億円相当を燃やして捨てていた。売れ残りの在庫をそのまま倉庫などに置いていたら、莫大な経費がかかる。高級ブランド品がバンバン捨てられ、バンバン値切られて行く。これは売れ筋と思って大量に生産してもアテが外れて在庫の山となる。ファストファッションの商品などはハナから安く作っているので、安売セールでさばく。それでも残ったらシュレッダーにかけるがごとく処分する。高級ブランドを大量に持ち込まれた業者は、まずは衣服などに付いているタッグをバチンバチン切ってそのブランド名を消す。需要と供給のバランスが完全に狂っているのが、不況にあえぐアパレル業界なのだ。ゾゾタウンの前澤友作なる者が、剛力彩芽を恋人にしたとか、宇宙ロケットで旅するなどと言ってるが、株価が下がり続けていたから、その対策と思えばしてやったりだろう。その露出費を広告費に概算したら、ん億円、ん十億円になるはずだ。実にしたたかなのだ。バーバリーとライセンス契約をしていた三陽商会は、バーバリーに撤退されて、赤字続き、大量のリストラをしている。その陰でバーバリーの商品が大量に廃棄処分されている。一見時代の先を行っているような高級ブランドも、実はコンサバであって時代遅れの経営をしている。これからはスーパーブランドと、ファストファッションになる。一方は商品作りにプライドをかけている。一方はプライドなどは一切ない。アパレル業界の中でいちばん創意工夫しているのが、スーパーブランドで、いい品をより高く売る。一方は安い物をより安く売る。「私たちの商品はとても高価です。それは高級品だから」アメリカの広告の中にこんなコピーがあった気がする。先日白いシャツにシミが付いてしまったので、新橋駅前の安物紳士服店で6,000円のシャツを急いで買った。通気性がすこぶる悪くてすぐに脱いだ。寒くなって来たから暖かいかもしれない。「ファッションに強い国民になろう」PARCOのスタート時の広告を思い出す。(文中敬称略)

0 件のコメント: