ページ

2019年7月18日木曜日

「『スヤイ刑』と『ミックスサンド』」

先日昼、フリーのライターさんとニュー新橋ビル内の喫茶店に入り、珈琲をした。地下の定食屋さんでサンマ定食を食べた後である。サンマはまったく脂っ気がなくパサパサであった。このビルは地下から地上まで中国人が経営している店が多い。喫茶店に行ったのは、森功著の「地面師」に出ていたので、フリーのライターさんに一度入ってみると誘った。私はこのビルが日本人ばかりだった頃、喫茶店の前にある歯医者さんに通ってクリーニングや治療をしてもらっていた。ある年の暮れ、40代でお医者さんが急死したと、奥さんから電話が入った。私には酒は飲まないと言っていたが、奥さんによると大酒豪だったらしい。すこぶる男前で腕がよかった。待ち時間や早く着いたとき、喫茶店で珈琲をしながら新聞を読んでいた。その頃を思い出すと、確かに怪し気な男たちが話し込んでいた。もっとも私自身がかなり怪しい感じなので、お店の人からみると、一味の人間に思えたと思う。新橋グループは相当に強力な地面師たちで有名である(その筋で)積水ハウスさん(私の家は積水ハウスさん)から60億円近くだまし取ったグループの一部の人間に、昨日東京地裁で判決が下った。10人が起訴されている。その判決を見ると懲役4年から4年6ヵ月であった。裁判長は「組織性が高く、非常に悪質だ」と言ったと記事にあった。業界用語で言えば「スヤイ」なんとまあ「安い」となる。日本は詐欺に対してものすごく刑が安い。やりたい放題の国、やった者勝ちの国なのだ。1000万円の詐欺も1000億円の詐欺も大した差はない。15年、20年の長期刑は少なく、無期懲役は聞いたこともない。例えば悪質な詐欺にあって一家心中したり、会社も倒産したりのケースもある。間接的な殺人と同じだが、刑は安い。オレオレ詐欺が防げないのはこの刑の安さである。刑事訴訟法を今すぐにでも改正する必要がある。警察や裁判所は詐欺をする奴も悪いが、ダマされるほうも悪いという考え方が強い。強盗や強姦(強制性交等)、殺人などの強力犯に比べて、詐欺事件は得点が少ない。日本で詐欺をした金を国外に持ち出し、カジノで全部使ってしまったとウソをつき、しっかり隠しておいて、3、4年で出所して来て手にすれば3、4年は安い旅(刑につくことを旅に出るとも言う)なのだ。大変お世話になった積水ハウスさんのために、判決は死刑が私の望みであった。マルチ商法で世間を騒がし、数千億をかき集めた連中も、安い旅から帰って姿カタチを変えて、再びマルチ商法を発見している。ちなみに、その喫茶店はサラリーマンのオアシスであり、地面師グループとは一切関わりはない。とてもいいサービスで、感じがいい対応である(ミックスサンドウィッチが旨い!)。詐欺と人にお金を貸すのも同じで、返すと言って期日にちゃんと返す人間はほとんどいない。貸した人間のほうが悪いんだと言われる。人に金を貸すということは、友人を失うことに等しい。保証人になるのも同じだ。借金魔と言われた「石川啄木」などは、その天才的才能を、「5・7・5・7・7」に発揮し、もう一つの才能を借金に発揮したと言う。人に金を貸したらあげたと思うべしなのだ。なまじあの金を返してなんて催促すると、陰で悪口雑言を言われてしまう。私の人生の多くは血族の借金返済に消耗した。「はたらけど/はたらけど猶わが生活楽にならざり/ぢっと手を見る(石川啄木)」。
イメージ


0 件のコメント: