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2020年2月19日水曜日

第25話「私は出張」

私は「出張」である。(月)(火)と名古屋に私出張は、出張して来た。足掛け三年にわたって仕事をさせていただいている会社の少し遅めの新年会に出て、次の日は朝から映像フィルム作成のためのロケハンをして回った。名古屋は粉雪が舞って寒かった。ウェブデザインの相棒と一緒であった。この相棒は私出張にとって最高の才能である。アカデミー賞を受賞した映画「パラサイト」の主演、ソン・ガンホにウリ二つである。私出張のあらゆるオーダーに対して、常に冷静に取り組んでくれて、オーダー以上のものを出してくれる。大学では哲学を学び、ソクラテス、アリストテレス、カント、プラトン、ニーチェらを原書で読んだ。結果哲学ではメシは食べて行けないと、急施回してウェブデザイナーとなった。私出張はとにかく乱雑に難しいオーダーを出す。常に誰もやらなかったことに挑戦する。和製ソン・ガンホさんは常にニコニコしている。名古屋は夏暑く、冬は寒い。(火)4時には渋谷で大切な打合わせがあるので、午後一時までにはロケハンを終えなければならない。オーバーコートは着ておらず、新年会には偉い人たち11人が出席するのでスーツを着ていた。代理店の人がクルマでアチコチ回ってくれた。おかげで早朝からのスケジュールをこなすことができた。で、名古屋駅で急いで昼メシをしようとなった。私出張は(一)ひつまぶし、(二)山本屋の煮込うどん、(三)駅のホームのきしめんを考えていた。私出張の楽しみは食べることである。旨い店に当たればうれしいの一語。旨くないと残念でしたとなる。その昔出張といえば勤め人にとって、息ぬきでもあった。仕事が無事終りさあ~夜だ、評判のあの店に行ってみよとなりその土地の食を知ることができた。今は交通機関が発達して、かなり遠方でも日帰りが可能になり、出張気分にひたることはできない。(一)をあきらめ、(二)は見つからず、(三)はちょっとサビシイと思いキョロキョロしていたら、名物カレーそばという大きなポスターが目に入った。体はかじかんでいたので、アヂアヂのカレーそば(フツーはうどん)にしよとなった。頼んだらすぐに出て来た。駅中などでの列車に遅らせまいとの心配りだ。カレーはアヂイから時間がかかるなと思ったが、カレーそばはかなりヌルイ。何故か白菜ともやしが入っている。Why何故かと思った、ズルズルすするがカレーの危険度はない。アヂアヂでないから皆エプロンをかけてない。白菜ともやしの水分でカレーの温度が下がっている。やはり列車に送らせまいとの心配りだろうか(?) 私出張は実のところガックリしたが、和製ソン・ガンホさんは、何か食べたことないカレーそばですが、白菜ともやしが入り混じって旨いですねと言っては、ズルズルと箸を進めた。郷に入らば、郷に従えと言う。私出張は力なくすすった。駅のホームに立つと立食いきしめんの店から湯気がでている。やっぱり(三)のきしめんでよかったのではと思った。お土産に「赤福」を買うかと思ったが、鞄が重かったのでパスした。その日伊勢名物赤福の会長が退任したとニュースで知った。一度賞味期限のウソの責任をとって退任したが、いつの間にか返り咲いていた。今回は赤福の名で焼酎を売った責任らしい。お伊勢さんもきっとあきれ返ったはずだ。名古屋で新年会をした会社の人たちは、いい人たちばかりの会社である。私出張はカレーはやっぱりカレーうどんでないと駄目だと思いつつ列車の中で少し眠った。



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