紫式部はきっと凄い不美人だったと推測した歴史学者がいた。
あれだけの美しい王朝文学を書く女性は自分のコンプレックスから来る美への憧れ恋愛への願望だという。
当時は電気もなく灯りは油皿に灯芯を浸けてそれに火を点けた程度。部屋の側には四角い穴だけ空いた厠、当然異臭まみれ。夏は暑く汗まみれの服の上に服を重ねていった。顔は火から出るススだらけで黒く鼻毛は伸びまくっていたと思われる。
髪の毛は長く伸び異臭を放つ、そんな感じで世界の文学史に残る源氏物語を書いたのだろう。
現代もそれに近い女性作家が源氏物語に挑戦した。その名を林氏という。これ程美への憧れを持っている人もいないのではないか。
ありとあらゆる方法でお金をかけるだけかけて美に挑戦している。
だがしかし、天は二物を与えずの通り直木賞という文学賞を天から授かったが、不美人からの「不」をとる事は与えなかった。
高い服、高い化粧品、高い靴、高い食事、高い香水、金で手に入れられるものは全て手にしたが「美人」には決してなれなかったようだ。土台が悪い建物はどうしたっていい建物にならない様に基礎が悪いのである。気の毒としか言い様がない。
プロゴルファーの不動裕理さんは大ファンだが、林氏の文学の世界は一度だけ半分読んで、こりゃ駄目だと思いそれ以来読んでいない。きっと私自身に文学に対する対応力が不足しているのだろう。どんな源氏物語か読んだ人間に聞いてみる事にする。
「人間は不公平なもの」と言ったのは、確かJ・F・ケネディだった。ケネディも又、T・ウッズと同じセックス中毒症だったという。源氏物語でいえば光源氏だ。きっとそんな自分が普通の人間に比べて不公平に思ったのかもしれない。たまには何もしないでゆっくり眠りたかったのだろう。なまじイケメンに生まれたばかりに不幸になった人間を沢山知っている。顔やスタイルと人間の中身とは別だからだ。「色男、金と力はなかりけり」である。
仕事場の近所にデパートがある。
一階は化粧品売り場だ。そこに無料で化粧品の試しをしてくれるコーナーがある。メーカーは腕よりのコスメティックのプロに試しをさせる。がしかし、相手の土台と基礎が悪い人しか来ない。元々美しい女性はそんな事をして貰う必要がないのだから。
シャネル、エスティーローダー、資生堂、アルマーニ、みんな大苦労している。どうしたって美しくならないのだから。
丸く白い布の中からぽっこり顔を出した。白い生首みたいなのがゴロゴロしている。小さな目はやはり小さく、低い鼻はどこまでも低く、タラコ唇はやはり明太子でしかない。仮にその場で少々化けても家に帰り風呂に入り素顔に戻ると、誰なのこの顔はと鏡に向かって当たり散らすのだ。
全然変わってないじゃないと山ほど買った化粧品に八つ当たりする。悲しきかな、切なきかな人生の不公平。いいんだよ、心が美しい人ならばと声を掛けたくなるが近づくと恐い顔で睨み付けられる。
若い時四年間デパートに勤めた事があった。社員食堂に行くとコスメアドバイザーの女性スタッフが煙草をパカパカふかしサンダルの紐を外しながら酷い事をガンガンと言っている。世の中でどこが恐いって、デパートの社員食堂程恐い所はないと思う。売り場にいる時とは別人格の人間に変身してしまうのだから。
高級呉服、婦人服、化粧品、コレが大変身する三大売り場。源氏物語の主人公じゃあるめいし土台が悪いのは何着たって、何で化粧したって変わらねえってんだよ。全く時間ばかり掛けやがって結局何も買わねえんだからやってらんねえよ、あんた今夜紳士服の課長とだろ、あたしは家具の人、結構いい線いってるんだ今の処は。まあここは男がよりどりみどりだもんね。何て言いながら左手に煙草、右手にスプーンでカレーライスを食べているのです。
デパート不況の原因は実はここに問題があると私は確信を持って言えるのです。
十時オープン、四十五度に頭を下げて最敬礼、いらっしゃいませなんて言いながら腹の中では今夜のデートの相手の事を考えているのです。私はデパートに行けば一発でそういう女性を見つけられます。ただ、もの凄く多過ぎます。ホントに恐い女の人たちです。
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