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2012年6月8日金曜日

「その日から」



私が未だ子供だった頃、こんな夜があった。
父を亡くし貧しい家であった。母は外に出て働いていた。

家に帰って電気をつけるのが末っ子の私の役目であった。
暗くなるまで働いている母が電気の点いていない暗い家に帰ったら可哀相だと思いどんなに楽しく遊んでいても暗くなると家に帰り電気をつけた。

ある日いくらヒモを引っ張っても電気が点かない。
そこに長兄が帰ってきた。おかしいな、停電かなといってロウソクをつけてくれた。
やがて姉たちが帰りロウソクは一本増えた。隣の家は電気が点いているわよといった。漏電でもしているのかと兄はいった。

そこに母が帰ってきた。
真っ暗な中でローソクを囲んでいる私たちを見て「アラッ、電気代を払ってなかったから元を切られたわ」といった。
長兄と二人自転車で電力会社に電気代を払いに行った。家に帰ると家は電気が点いて明るくなっていた。
東京電力が大嫌いになった日であった。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

東京電力のお仕事してませんでしたか?
勘違いなら、お許しください。