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右の目は熱く、左の目は冷たく、心には氷の炎を持て。
と、開高健先生はおっしゃった。
そんな事を感じる女性の姿があった。
来日していたアウン・サン・スー・チーさんだ。
軍政のミャンマーで十数年自宅軟禁されながらも民主化を訴えてきた。
死と背中合わせの日々であった。当然恐怖との闘いでもあった。
インタビューに応えるその毅然した顔、おだやかだが鋭い刃の様な言葉に感動した。
独立運動の父といわれた父親アウン・サン将軍を二歳の時に失った。
父親が遺した言葉“一人ひとりが戦う勇気を持て”スー・チーさんはその言葉を支えに今日まできたという。
二年後の大統領選挙に出て民主化を目指す決意を語った。
十代の頃のスー・チーさんの息をのむほどの美しさ、
二十代、三十代の頃の言葉を失う程の気高い姿はこの世のものとは思えない。
父親への尊敬心、母親への感謝の念、
かつて日本では当然だった事がスー・チーさんから語られた。
勇気は努力した人にわいてくるもの。一人ひとりが自分に出来る事をやる。
全てはそこから始まるのだと。
長いものには巻かれてしまう。強い者にひれ伏してしまう。
金のある者にはすり寄ってしまう。
勇気などという言葉はすっかり死語になってしまった気がする。
だがいかなる人間の中にも勇気は宿っている筈だ。
私もかつては持っていた筈だ。
スー・チーさんの言葉に出会ってすっかり錆ついた勇気を呼び起こそうと誓った。
“努力”こんな言葉もすっかり錆つかせてしまっていた。
間違いと失敗は、人間が前進するための訓練であると先人はいった。
カウンターパンチを怖れ、前に出ないボクサーに勝利はない。
人生とは殴り合いなのだ。様々な相手と運命というイタズラとの。
自らの手で闘いのゴングを鳴らすのだ。
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