ページ

2013年4月3日水曜日

「一枚の紙切れ」


約束手形 ※イメージです


若者の特権とは何か、それは何度でも失敗が許されやり直しがきく事だ。
20代、30代で起業する人が増えている。
男子たる者「鶏口と為るも牛後と為るなかれ」と古人はいう。

「鶏口牛後」という。
牛の後にくっついて歩く鶏より、小なりといえども一国の主を目指せという励ましだ。
何度でも敗け続け挫折し、悩み苦しむ事だ。世の中は簡単に成功への門を開けてはくれない。信頼していた知人や先輩や友人に裏切られ、入ってくる筈のお金にはトンズラされ、出て行くお金は待ったなし。
こんな筈じゃなかったとチクショウと屋台のヤキトリ屋でヤケ酒を飲む、が旨くもなんともない。


私は20代で会社を作ったが世の中の事が全く分かっていなかった。
何度か不渡り手形をつかまされた。今日は集金日だと行ってみれば、そこには管財人の貼り紙一枚、相手の会社は行方不明だ。入るのが入らなくて、出るものは出るのだから大事件だった。


私が初めて約束手形を受け取ったのは、ある大手写真機メーカーだった。
会社設立二年目初めての大仕事をしたお金を支払い指定日に集金に行ったのだ。
経理の窓口には列を成していた。

やっとこさ順番が来て渡されたのが約束手形という紙切れだった。
これ何ですかと聞けば、これは約束手形です、今日から六ヶ月後に現金になります。
えー!現金じゃないの、六ヶ月後だって、カメラマンやモデル代、スタジオ代やいろんな処に支払いがあるんですよ、といっても、ハイ次の方どうぞであった。

当時の65万円は大金であった。
途方にくれて知人に相談すると、この手形に裏書する個所が何箇所かあるだろう、ここに誰か裏書してもらうんだな、まあ保証人みたいな人だ、それを金融機関に持って行って割引手数料を払って現金化してもらうんだな。

えー、請求書出して集金に行くまで60日、それでこんな紙切れ一枚、その上裏書だとか保証人だとか、手数料までとられるとか、ヒデー話じゃないですか、マッタク。
最初に支払い条件を聞かなかったのか、先輩の紹介だったので全く聞きませんでした。
もう、トホホのホだったのです。

結局母親に裏書をしてもらいやっとこさ現金化したのです。
こんな初歩的な事を知らずとも、とにかくがむしゃらに働いて約束手形を手にして行ったのです。この手形がちゃんと決済出来て行くと金融機関に信用がついて来たのです。
以来現在まで無事故で来ているのです。

若者たちよ、めげるな、しょげるな、自分に自信を持ってガンガン働けばきっと活路は見いだせる筈だ。社会から信用を得るには高い月謝がかかるのだ。
どんな大企業だってはじめは一人とか二人、数人で始めたのだから。

私の周りにも若くして起業している人間が増えている。
一つアドバイスをする、オイシイ話には決して乗ってはいけない。
酷くマズイ話になるからだ。

0 件のコメント: