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2013年4月2日火曜日

「二万回死んだ人」


福本清三さん


1969年東映製作の映画「日本暗殺秘録」というのを一本100円で借りて来て観た。
今から44年前の作品には当時の東映のスターがズラリ勢揃いであった。

片岡千恵蔵を筆頭に鶴田浩二、若山富三郎、高倉健、千葉真一、桜町弘子、藤純子など。それに大部屋俳優も勢揃いだ。桜田門外ノ変、大久保利通暗殺、安田財閥の安田善次郎暗殺、やがて五・一五事件から二・二六事件まで中島貞夫監督が140分余をかけて作っていた。

貧困、汚職、財閥の貪欲、権力の腐敗、軍部内の権力争い、右翼思想の発芽、天皇陛下万歳となって日本は戦争に突き進む。

正直映画はいまいちというか、いまふたつであった。
私がずっと目を凝らしていたのは、映画のはじめに出る出演者のロールの中にオッ、近藤正臣が、オッ、里見浩太朗がその他大勢みたいの中にあったのだ。
どんな役でいつ出て来るかを見つめた。

結局近藤正臣は分からずじまいであった。
里見浩太朗はひと言セリフがあったがよく聞き取れず、顔半分は木の格子で隠れていた。

で、何がいいたいかというと、人間好きなことをバカみたいに一生懸命やっていると、いつかはきっと報われるという事なのだ。
かつて仲代達矢は通行人役だったし、小林旭はセリフのないバーテンダー役だった。
いきなり大スターになったのは、後にも先にも石原裕次郎しかいない。

映画を観る楽しみは脇役や、いわゆる大部屋俳優さんたちの渋い動きや目立たないが光る存在だ。

私が大尊敬する大部屋俳優さんがいる。
その名は「福本三」さん、会った事はないが大ファンである。
この人は斬られ役の名人、今日までバッサリ斬られて死んだ事なんと2万回を超すという。

トム・クルーズ主演の「ラストサムライ」ではその存在がギラッと光っていた。
「福本三」さんは1943年兵庫県生まれ中学校を卒業後東映に入った。
いつかこのひとを主役に短編を作ってみたいなと心秘かに思っている。

監督は勿論中野裕之さんにお願いしたい。
中野監督は人を殺すシーンが好きでないピースな人だからだ。役者を目指す人は、とことんバカになって下さい。きっと機会がやってきます。
役者バカ一代、なんてステキな人たちだろうか。

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