16日(日)小宅の二階、四畳の寝床は蒸し暑く、クーラーを入れれば寒い。
不眠症人間にとっては最も苦手な夜が来る季節だ。
午前二時過ぎによし一杯と一錠飲んで少し寝て午前五時からの日本VSブラジルのサッカーを見よう、その続きで全米オープンを見て、新聞読んでシャワーを浴びて、カルピス飲んで10時35分辻堂発の列車に乗ってディファ有明へ行こうと決めた。
一階の床に座布団三枚を縦に置いてタオルケットでカバーする。
大きなタオル地の夏掛けと枕を持ってきて寝床完成だ。だがやはり上手に寝付けない。
仕方ないずっと起きていようとなった。
ほぼ19年夏はこんな生活だ。
朝陽が入ると眩しいのでアイマスクは欠かせない。
私の特技は座布団三枚を置くスペースがあれば十分生活できる事だ。
広いとかえって落ち着かない。
冷えた缶入りのハイボールと、細いスミノフアイスを一瓶用意してグラスに入れちびちびと飲む。
テレビを付けっぱなしにしていた。
うとうとしているとダァーンとブラジルのネイマールが矢の様なゴールを入れた。
オオッ始まったかと正しく座り直す。
ブラジルは速い、鋭い、速い。日本は遅い、鈍い、遅い。
パスの速さが比べ様がない。身体能力も格段と違う。
日本は足が短い、高さもない、で、ダァーンと後半早々決められる。個人技も全く勝てない。オーストラリア戦で引き分けて大喜びしている場合じゃないという思いが的中する。
終了間際なんともあっさりドーンと決められ、0対3で負けた。
サッカーの0対3は野球でいえば15対0で負けた様な大差だ。
全米オープンが5時半からテレビ朝日で始まった。
いつもの日曜日なら6時から老政治家によるワンパターンの日曜放談を見ているのだがそれはパス。日本選手はボロボロだ。プロとアマ程の大差がある。
フェアウェイを外しラフからでもバーディーがとれる優しいゴルフ場でプレイをしている日本人選手はあらゆる高度な技術と強いハートが求められる全米オープンなどではボギー、ダブルボギーの連発である。
ただ新人の松山英樹選手には大きな可能性を感じた。
21歳ながらも落ち着いている。久々の大物出現だ。
何より大ファンのタイガー・ウッズもボロボロであった。
11時半ディファ有明入り口に着くとすでにデザイン界の巨匠、井上嗣也さんが来ていた。少し遅れて兄弟分も到着した。
三人でムエタイ(タイ式ボクシング)の世界タイトルマッチを見るのであった。
三人とも大のボクシングファン。格闘技好きなのだ。
メインイベントの「リヨン樺澤」選手とイランの「メヘダット・サイヤディ」選手戦がお目当てのカードだ。リヨン選手はすでに二階級の世界チャンピオンである。
群馬県前橋市で国士会というジムを運営している。大型バスが何台も来ていた。
「リヨン樺澤ツアー」と貼り紙があった。
この試合のセコンドをするリヨン選手の先輩(舞台役者兼演出家)と知り合いである。
実は二人を起用して来年のカンヌ国際映画祭に出品する短編映画をずっと考えている。
シナリオがビシっと決まらず、ブレにブレているので試合を見てみよう、そこに何かヒントがあると思ったのだ。
場内に日本国歌とタイ国歌、イラン国歌が流れる。
1000人程でディファ有明は満員であった。
日本女子VSタイ女子2分✕5回のエキシビションが8試合あった。
で、いよいよメインイベント。3分✕5回。リヨン選手は国士舘大学の出身なので大学の後輩チアガールがキラキラとリング上で三曲踊る。
さあ、ゴングが鳴った。
見た目強そうで本当にもの凄く強いリヨン選手、短髪、口ひげ精悍そのもの。イランの選手は長身、長髪の色男。ガァーンと一発ハイキックが入ってイラン選手はイランと恐怖度100%で1R終了、2R逃げるイラン追うリヨン、コーナーに下がるイラン、バカボコとパンチ、ビシバシガチンと足蹴りがイランに集中。でお終い。
リオン樺澤の強さ抜群。
私の頭の中でバチバチバチとアイデア連発、これだ、これだ。やっぱり来て良かった。一年間モヤモヤしていたのが晴れた気がした。
木曜日に杉田陽平くんという気鋭の画家と彼の個展会場で会う。
昼食を一緒にする。ゾクゾクする絵を描く人だ。
舞台役者兼演出家とムエタイの王者と現代絵画の旗手を一本の映画の中で共演してもらえば(?)映画のテーマは「哲学とは死の稽古だ」このソクラテスの言葉を映像化する。
超低予算で映画界の世界チャンピオンを目指すのだ。
といってもこれは一睡もしないで帰りの列車に乗った私の起きたまま見た夢かもしれない。芸術は細部に宿る。
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