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2010年3月16日火曜日

人間市場 殺意市


五歳の子供に果たして殺意はあるのか、松本清張はそのテーマを主題にしてある本を書いた。

その粗筋は、一人の美しい未亡人には五歳の男の子がいる。
仕事を終え帰りのバスに乗るそこで昔好意を持ち合った妻子ある男と偶然出会う。
男が近所に引っ越して来たのだ。
やがて週末になると男は未亡人の家に遊びに来る様になる、よく冷えたビール、美味しいつまみと食事に心をとらえられていく男。
快楽の後の破滅に向かうには時間を要さない。

やがて毎夜の様に二人は愛欲にまみれた。五歳の子供は息を潜めながら、目は裸体となった二人の姿を見ていた。母親のむせび泣く声を聞いた子供は鉈で男を乱打する。男が母をいじめていると思ったのだ(?)

五歳の子供に殺意はあるのか心理学者は五歳の子供の心の闇を探す。
ある児童学者によると現代では三歳にして殺意を抱くという。
テレビやゲーム、兄や姉が見せてくれるパソコンやマンガ本の影響であると分析する。

ある日の夜、私の家に友人の母娘が相談にと言うより、連日連夜時間を選ばず長い電話を掛けて来る様になった。
話の内容は朝から晩までパソコンばかりに向かっている夫と父に愛情を失っている。
ある日の午後ソファーで熟睡している隙に母娘は夫のパソコンを開いて(私にはよく判らないパソコンなんて知らないから)見てしまった。
そこに出てくるものは母娘を絶望の湖底に沈めた。世界中の変態プレイ、殺人や処刑現場、見てはいけないあらゆる情報が次々と出たという。

その時妻と22歳の娘は殺意を持ったという。
いい夫、優しい父、人から敬意を表されている父親は、最低、最悪、変態となった。
思い悩んだ母娘が私の処に電話をして来たのだ。それは微に入り細にわたった。
母と娘から交代に聞いた私は絶句した。まさかまさかである。少し冷静になり、そうかそういえば話をしている時やけに様々な情報に詳しかったし、あっそれ見たよなんて言っていたなと思い出した。マニアチックに忠実に魚を描く達人であった。

夫と生活するのが、父と生活するのが気持ち悪いんです、恐いんですと言った。耳にしたくもない辛い電話が連日時間を選ばず取っ替え、引っかえかかって来た。

結論を言うとその家族は崩壊し離婚をした。
そして現在三人は別々の精神病院に入院している。いつ出てくるかは判らない。
私は朝から深夜までパソコンをいじっている人間はある種の病気だと思っている(投資や株をやっているのもいる)。嘘の2ちゃんねるを追跡しまくる人々である。

人が知らない情報を自分だけは知っている(実はマニアはみんな知っている)と思い悦に入る。俺は凄い男だと一人ほくそ笑む。気持ち悪い人間になっているのだ。当然女性にモテない人間に圧倒的に多い。
三つ子の魂百までという、三歳の子供に殺されない様身を正し、パソコンから離れた方がいい。パソコンは仕事だけだ。

ちなみに精神病院に入っている三人は私に身元保証人になって欲しい等知らせがあった。身内の人は全て断ったからと病院の人が言った。
厄介な事にかかわらないでよ、子供や孫たちがいるんだから。直ぐに何でも引き受けるんだから絶対に止めてよといつもは多くを語らない愚妻が言った。

去る日の午前448分外は雨が激しく降っている。
私は頭を抱えている。
パソコンは使い方を間違うと人間の精神を分断してしまう凶器だ。
知らなくていい事を知り、見てはいけない事を見てしまう。
そして人間破滅となり情報バンパイヤとなってしまう。
この頃の事件には全てパソコンとメールが絡んでいる。

その日の午後娘さんが病院でリストカットをしたという連絡が来た。

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