コインに表と裏がある様に世の中には明るい場所と闇の世界とがある。
裏社会はおぼろげに見えるが闇社会は見えない。
なでしこ、なでしこで毎日うんざりしている時、ある人物二人と出会った。
このある人物とは、一人は旧満州で関東軍にいた老人である。
年は91歳だ。近所にある二つの公園を綺麗に掃除してくれている。
背格好は私より少し低いから170㎝位だろうか、よく陽灼けしている。
陸軍大学を優秀な成績で出て中尉として満州に従軍し、終戦時は上海にいたというあの自殺した甘粕正彦憲兵大尉の下でハルピンとの情報活動をしていたらしい。
中国人を拷問で何人も殺したと最近になってやたらという。家族や周りの人は頭が変になっているのでとまともに聞かないでという。
自分が中国人に酷い拷問されたからその逆を思ってしまっているのだとか。
もう一人の老人も一緒だった。その老人は元陸軍中野学校出身であった。
やはり上海を舞台に諜報活動をしていたらしい。年は93歳だ。しかし見かけは75歳位にしか見えない程シャンとしている。戦後はS・商行という日本橋辺りにあった武器商社の顧問をしていたらしい。この人はいまミッション系の幼稚園の創立者として地元の尊敬を受けている。小柄だが目が決して笑わず、時として獲物を追う鷹の様になる。日頃の癖なのか爪を噛む。
老人二人と私が何故に海岸のレストランカフェにいたのか、それは老人達のひ孫が揃って自殺したからである。
死んだ二人共官僚であった。
一人は38歳外務官僚、一人は41歳警察官僚であった。二人共その原因は鬱病によるものとされ二人とも密葬にされ解剖もされぬままこの世から消えた。
二人が知り合い同士であったかは分からない。
私が鬱についてあるイベントをしたのを誰かに聞いたのだった。
何故心配しているのか、それはひ孫の子がはやり鬱っぽいのでという。
一人は13歳の女の子、一人は15歳の女の子とだという。共に私立の有名校に通っている。
コーヒーを飲みながら「あかるい鬱」について少し教えて欲しいというのだ。
私達はもう長くない命だけどあの子たちに父親の様な事になって欲しくない。
いろんなカウンセリングを受けたが効果は出ずらしい。
私には素人考えしかありません、私はただただ一番苦手だった歩くという事を十年一日も休まず行ったんです。丁度この目の前のサイクリングロードを行きは江ノ島に向かい、帰りは富士山に向かって。チキショウ、チキショウ負けてたまるかといって。ただそれだけですよ、13歳と15歳の女の子ですか、丁度ホルモンのバランスが崩れる年頃だしなんで父親は自殺したのかなんて関心がわき、聞いたり調べたりするんですよ。
私ら二人この辺りでいろんな噂をされているのか知っていますよね?ええずっと前からいろいろ聞いていますけど噂は噂ですからそれだけの事ですよ。
私らはね、むかし人の命を一個の石とか一本の小枝に例えたりしたんですよ。
官僚の世界は闇のまた闇ですからね。そう警察が自殺と断定した人の数%は間違いなく闇が動いて消したんですよ、見えない真っ暗闇の命令で。
あの石ジャマだからどかせとか、その枝そろそろ切った方が景色が良く見えるとか、ずーっと深い闇から丁度山の中で獣同士が合図し合う様に。
裏社会なんて闇の闇から見たらどうという事はない。
手のひらの中のちっぽけな生き物ですからと、そこへおじいちゃんなにやってるの?こんなところで、又二人で訳の分からないどこかで聞いたような話をしてるんだから。
すみません、本当にご迷惑をおかけしてと60代のご婦人。さ、帰りましょう本当にすみません。何もかも聞かなかった事にしてください、みんな作り話ですから、さあ○○のおいじいちゃんも一緒に帰りますよといってレシートを持った。
私が払いますよと言ったらいけませんと言って勘定をしてしまった。
店の外にはご主人と思われる人がBMWのハンドルを握っていた。
そしてご婦人と老人二人は車の中に入りエンジン音を出して平塚方面に消えていった。
その日からほぼ二ヶ月、夏の兆しが肌に感じて来た頃あのBMWを運転していたご主人らしき人が山手線に飛び込み自殺をした。56歳であったとか。
なんと通産省の高級官僚でありかつて原子力担当であったという。
自殺した?次の日大好きだったゴルフの予約をしていたというではないか。
又、美しい愛人がいてその女性は伊豆の宿泊付ゴルフ場でずっと待ち続けていたという。
女性の勤務先は大手商社であった。その女性は上海万博担当だったらしい。
闇社会のお告げとか命令はいまもかつての上海関係の闇から出るという。
みんな嘘かもしれない、みんな本当かもしれない。私の真夜中の作り話かもしれない。
利権の側にいる人は高い所に登らない様に、ホームの端は歩かない様にしましょう。
ラストコーションとい映画は面白いですよ。
0 件のコメント:
コメントを投稿