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2013年5月23日木曜日

「あるポスター」


※写真はイメージです


聖なるスポーツといわれるのはボクシングだ。
それは同じ体重枠の中で命を掛けて殴り合うからだ。

競馬の騎手や競艇の選手も体重枠があるが殴り合ったりはしない。
ボクサーにとって最大の敵は減量との戦いだ。
真夏なのに数台の石油ストーブをガンガンつけ窓にはテープで温度が逃げない様にする。

シャドーボクシング、パンチンググローブ、縄跳び、スパーリング、ミット打ちなどなどが3分間単位で行われる(ボクシングは1ラウンド3分、体を3分に合わせる)。
当然室外でのダッシュやロードワークも毎日行われる。

ボクサーは毎日体重計に乗る。
一日一日試合が近づく程体重は減らない。水も飲まない。
意識がなくなるまで自らを追い込む。1グラム落とすのにも大変な状態となる。

私はそんなストイックな男たちに惹かれるのだ。

その日ホテルのロビーで人と待ち合わせをしていた。
少し早く着いたので掲示ポスター類を見ていた。
◯☓先生の講演とか、□△流生花展とか、☓☓占い教室とか何枚も貼ってあった。

何!というポスターに目が止まった。
二泊三日「週末断食」小さな文字を読むと、シェフや栄養士が考えた飲み物を用意して気軽に断食に挑戦しましょう。合計10回で料金は41,900円〜60,000円と書いてあった。

食と健康。 
20代以上の幅広い世代のご参加を。
ホテルのコンシェルジュに聞けば予約は殺到するのだとか。
お金持ちの頭の中はつくづく分からない。

ボクササイズといってボクシングジムでダイエットをしている人を知っているが、たっぷり汗をかいた後に、たっぷり飲み食いしてしまう意志が弱い人なのでむしろ増量している。その人にはボクサーになりなさいとアドバイスをしているのだが、殴り合いは嫌だ、暴力は嫌だという。

ボクシングは暴力ではない。
自分の事は自分で守らねばならない危険な世の中。
一度強烈なパンチをもらって奥歯、前歯がガタガタに、腹(ボディ)にもらえばこの世の終わりという程苦しい事となる。

そんなパンチはくらいたくないと思えば体を動き易くするために、アレも食いたい、コレも食いたい、アレを飲みたい、コレも飲みたいという訳にはいかない。
美しいフットワークを生むための努力だ。ふざけたホテルで高い金を使う事などお止めなさい。どうしても断食をという人には、たしか伊豆に断食道場があるらしい。
そこでは肉体と同時に精神の贅肉を取ると聞いた。人間は自分についた贅肉を取った分、自分が好きになるという。

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