映画館のカタログの解説を記す。
「ヴァンデ・グローブ」四年に一度開催される世界唯一の単独無寄港世界一周ヨットレース。
南半球一周およそ2万6千マイル(約48,152km)の航程をおよそ100日間かけて帆走する。
フランスの大西洋岸のヴァンデ県レ・サーブル=ドロンヌ港を出発後、大西洋を南下、喜望峰を抜け、南大西洋を出て、南米大陸のポーン岬と南極大陸の間にあるドレーク海峡を抜け、再び大西洋に入り北上、レ・サーブル=ドロンヌに帰る。
強烈な風、強烈な荒波、無援助で長期間、緊急処置も及ばない航路を走る非常に危険なレース。
2012-2013のレースに最年少で優勝した29歳のフランソワ・ガバール氏が打ち出した新記録は78日2時間16分。途中いかなる外部からの物理的援助は受けられない。
医学的アドバイスのみ通信で得る事が許されている。
レース中にスキッパー(舵を握る者の事)以外の人が乗船すると失格になる。
このレースを丸ごと映画にしたとんでもない映像を観た。
題名は「ターニング・タイド/希望の海」監督:クリストフ・オーファンスタン、撮影:ギョーム・シフマン。一日一回だけの上映。新宿シネマカリテ。
ミニシアター、座席数80(満席)外は土砂降りの雨。
ヨットに全く縁遠いのだが、会社の顧問をしてもらっている方が、有名なヨットマン。
その方の部屋のカレンダーに荒波と戦うヨットマンの写真がある。
遠くから見ると、どこかのどかに見えるヨットレース。実はこれが死闘なのだ。
自然という猛獣と戦うのだ。風速数十メートルの中でヨットに乗っていると思えばその過酷さが想像出来るはずだ。
緻密な作戦、戦略、技術、強靭な体力、強固な意志、強烈なプライド、勇気と冷静、自分自身を守るのはスポーツマンシップと絶対的哲学だ。海は一切容赦しない。
一瞬の油断が致命的となる。
今週からラッセル・クロウ主演の「ノア 約束の舟」が上映され始めたが、現代のノアの方舟みたいな宗教的メッセージを感じた。大洪水の中で約束の地を求めたノアの方舟。
人間と動物たち。この映画ではその動物に変わるアイディアが用意されている。
フェアプレー精神が現代人から消えて行く。
自分のプライドとは何かを考える事すら引き出しの中に閉まっている。
この映画を作った人々に大拍手!大喝采!を送りたい。
実際のレースと同じ様に設定をし、二ヶ月半をかけて撮影したとカタログに書いてあった。もちろん命懸けだ。フランスの映画野郎たちは本当に素敵だ。
ヨットをこよなく愛したという「石原裕次郎」がこんな歌を唄った。
♪海の男はいく 強者はいく〜と。海、男、風、荒波、強者、家族、友情。
この映画の結末は、現代人が忘却してしまった強者が、大切な事を教えてくれる。
近々全国順次公開。ぜひ観てほしい。感動的なラストだ。
ボブ・ディランの名作「天国の扉」がカバーリングされて流れる。
♪ノック、ノック、ヘブンズドア ノック、ノック、ヘブンズドアと。
泣けて来てしまった。早速顧問の方に観ましたよと電話をした。
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