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2014年6月27日金曜日

「野望の果ては」




戦国武将たちのバイブルといえば「孫子」の兵法と決まっている。
近代国家の戦争屋たちもこの書から学んだ。世界中の言葉に訳され今にきている。
勿論経済戦争、スポーツ全般に於ける戦略戦術もこの書を参考にしている。
聖書と並ぶロングセラーだ。

この書が教えるのは、戦わずして勝つ。
だがどうしても戦うなら「きれいに負けるより、汚くても勝て」とある。
人間の弱みにつけこみ、策謀をめぐらす。
ギリギリの本性を見抜き、衝動を読み切り、裏をかく。
野望と欲望の渦巻く渾沌を見定めて、人間の本質に肉薄せよ。

早い話が刀や槍や鉄砲や、機関銃やミサイルや、機雷や戦車、ましてや核爆弾を使って行う戦争は絶対にいけない。膨大な国費を使い、国力を消耗させてやがて人類を滅亡させる。と、教えながら中国五千年の歴史は永遠たる戦争の歴史であり、権謀術数の権力闘争の歴史でもある。

資源のない日本を支えているのは、中東をはじめ他国からの石油輸入である事は小学生でも知っている。
第二次世界大戦は資源を求めて戦略も戦術もなしで突入してしまった。
日本という国は、四方八方に気配り、目配りしてあらん限りの術を使って生き残るしかないのに。

勝海舟は「外交とは術だ」と言い遺している。
「孫子」の兵法を学んだ中国はあらん限りの手を使って挑発をする。
いい加減うんざりしているアメリカは戦争ばかりして来たので国力がすっかり弱くなってしまった。
だからもう戦争なんて出来ない、日本は憲法を改正して自分たちの事は自分たちで守れ。アメリカが戦争に巻き込まれたらちゃんと自衛隊を参加させろ、と強烈に脅された日本国政府は、外交の術を全く使うこともなく絶対服従を決め込んでいる。
中国はこの機を逃さず、孫氏の兵法に従い戦略の限りを尽くす。

残念ながら今の日本国に中国と渡り合える智略家はいない。
誘惑されて捨てられて、という言葉があるが、今日本の権力者たちは、親分アメリカの誘惑に引きずり込まれている。

映画ファンなら誰でも知っている「仁義なき戦い」という映画の中に出てくる、金子信雄演じるところの親分の術である。オドシ、カワシ、ユスリ、カタスカシ、嘘八百、そして使い捨て。
自分で一席を用意しておいて帰る段になると「ここの勘定払っておけよ」となる。日本国は高い代償を払うことになる。

六月二十六日午前四時十五分十一秒、NHKの画面に司馬遼太郎が出ている。
「なんで日本はあんな戦争をしたのか」そう語りかけている。
新しく始まる「知の巨人」シリーズの予告であった。
鶴見俊輔、丸山真男らが出る。必ず見なければならない。

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