かの正岡子規はカリエスのあまりの激痛に耐えかねて自死を計ったというが死に至らずだった。
さすがに正岡子規、その苦しみの中で「平気」という悟りの境地を開いたと何かで知った。
即ち「平気で死ぬ」という極意だ。
「ガチョーン」で一世を風靡したクレイジーキャッツのダニーケイこと、谷啓は死んだ事が判らなかったのではという。これまたお疲れさんでしたガチョーンである。
友人が訪ねて来るとお寿司の巻物を出した。
カッパ巻き、次にカッパ巻き、そして又、カッパ巻き、そして最後にガチョーンと言ったとか言わなかったとか。
NHK教育テレビの夜10時25分から25分間の「美の壺」は私の一番好きな番組で全て録画してあり何回も見る。昨年3月まで谷啓がナビゲーションをしていた。今は草刈正雄だ。
この番組はやはりNHKでないと作れない、極めて上質な番組だ。
民放では逆立ちしても見られない。夜中や明け方帰ってきて一杯飲みながら録画しておいてもらった「美の壺」を見る、その中から何度ビッグアイデアを貰ったか判らない、アイデアの宝庫だ。
私にとっては明け方は学校だ。必ず大学ノートを広げてノートを取りながら見る。
谷啓さんが軽妙にエスコートしてくれていた。ブラウン管から出ていた人が出なくなると不吉な事が起きる。ニュースで名優小林桂樹の死去の報に接した。
そう言えばこの頃見なかった。社長漫遊記の秘書役は絶品だった。経理部長加東大介、宴会部長三木のり平、絶妙であった。駅前シリーズも又良かった。私が英会話のNOVAに「駅前留学」と名付けたのもあの映画のお陰であった。
この頃、私の少年時代、青春時代の名優がどんどんあの世のステージに行ってしまう。今自分のイメージしている自分のお墓を探しに行っている。
友人のスタイリスト会社の社長が私のリクエストした流木を探してくれた。
かなりいいイメージだ。後は左に江の島、右に烏帽子岩をその又右に富士山を見る小高い場所を探す。これが中々難しい、もう二年も探している。愚妻からちゃんと見つけといてよいつ何が起きるか判らない時代なんだし、歳なんだからと。
ビョーン、ガチョーンとバッチシ決めたいものだ。
墓には今のところ「平気」とか「両忘」とか「ぐっすり眠る」とかTHE ENDとか「完」とか「終」とか「FIN」とかを考えている。私の事だから直ぐ気が変わるが。
ちなみに「両忘」とは孟子の言葉、生を忘れ、死を忘れる。
死は一睡の夢なのである。
死ぬのが恐くて生きてはいられない(?)
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