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2010年10月19日火曜日

湘南の嵐便り 「人間の知力」


チリの鉱山から奇跡的に33人全員を脱出、生還させた人間の英知と努力は心から凄いと思う。

正に生きて還るのライブなヒューマン劇場だった。
一つ一つの救出の器具にあらゆる工夫がされていた。
それを見ててある日の感激というか感動を思い出した。

松ヶ岡開墾場記念館

山形県に松ヶ岡開墾場がある。
そこにいかに人間が生き延びるかの知恵を、いかに一粒でも多くの米と一つでも多くの野菜を作るかの工夫が、広い広いかつては養蚕場だった展示場に一大歴史ドラマとして展示されている。


明治維新の時、官軍に逆らった武士達がお前らに与える土地などありゃせんごわすと言われ、何もない何も育たない雪国に追いやられた。

開墾場記念館の中、沢山の農具がありました
武士は刀を鎌(かま)に、樏(かんじき)、背負子(しょいこ)、鍬(くわ)、鋤(すき)、篩(ふるい)にシャベル、様々に工夫した農耕機具に持ち替えた。
この松ヶ岡開墾場で私の尊敬する先輩が水彩画展を行った。
山形県鶴岡出身の素敵な画人であり、名文家であり、日本チーズ協会の会長でもあった。

開墾場を描いています
麻生ご夫妻


こよなく鶴岡を愛し、こよなくフランスのプロヴァンスを愛している人だ。一年に一度は必ずお料理の先生の奥方とスケッチ旅行に行く。
銀座プランタンでは人気作家の一人であり毎年の様に展覧会をする。


農具の数々


もちろん水彩画もよかったが農耕機具にも心を奪われた。
嵐の日には、風の日には、雨の日には、雪の日には、それぞれ細やかに工夫改良されている。溶接もない時代に何でこんな曲線や曲形が創られたのか、心から人間の歴史に敬意を感じた。自然の生物をみんな味方に取り入れたのだ。木、草、土、水、火、そして決して怯むことなき根気だ。



今は何でも手に入る。東急ハンズに行けばいいのだから。
隣は庄内映画村、今や一大観光スポットだ。時代劇の名作を生んでいる。
夥しい数の農耕機具と時代劇を見ると日本人がしっかり見えて来る。

今、何が欠けているのか、今、何が不足しているのか、これから何処へ向かうのか。



私は日本は再び農業の時代が来ると思っている。
漁業や林業は自然任せのところがある。特に漁業は魚群探知機の発達とFRPの高速船の発達、無線の進歩で魚を捕り過ぎて寿命を縮めた。地球の生態系も狂ってきた。
林業は国があまりにたるんでいて森を見て木を見て来なかった。
100年、500年、1000年を見据えた国家的計画が必要だ。

言い方は悪いがお百姓さんの時代となる。彼等は強かの上にも強かだ。
板子一枚に命を掛けている漁師とは全く違う。林業は計画投資的、漁業は博打的だけ、農業は季節の恵みという強い味方がある。


昨日400円したキャベツやレタスが一日で100円から200円になった。
これはJAあたりの悪知恵、浅知恵である。
ぐにょぐにょに曲がったサツマイモや凹凸の京茄子が一個60円で売っていた。

食べてウンコになればみんな平等だ。
自給自足の時代に備えよう。

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