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2015年10月22日木曜日

「1点の差」




私は天邪鬼である。ラグビーがWカップで3勝したのは喜ばしい。
強豪南アフリカに勝ったのは素晴らしい。

だがしかし、優勝した訳でもないのに優勝したが如く大騒ぎするのはどうかと思う。選手たちはテレビに出まくり、親や妻や子も、学生時代の先生や監督もテレビカメラは追いまくる。サッカー人気に押されていたが、そのサッカーもすっかりニュース性がなくなった。マスコミにとってWカップ三勝は優勝に等しいネタであった。

サッカーはベスト16位で優勝騒ぎをした。ニッポンが駄目なところはここにある。
ちょっとしたことでスターを作り、ちょっとしたことでスターを抹殺する。
ニッポンがWカップで優勝するには、準々決勝、準決勝、決勝と勝ち進まねばならなかった。五

郎丸歩選手のキック成功率がスゴイと思ったら上には上が何人もいる。
90%以上の成功率なのだ。五郎丸選手は85%を目指したが世界のトップは100%を目指していた。
主将であるリーチマイケル選手はこのことを理解していたのだろうか、浮かれるより心配顔で実に冷静にニッポンチームの先を見ていた。五郎丸選手も同様であった。

エディ・ジョーンズ(ヘッドコーチ)はシビアであった。
今のままでは2019年は研究しつくされて厳しいだろうと。
また、保守的なニッポンのラグビー界はせっかくの進歩をまた後退させるだろうと。
ニッポンサッカー界はベスト16になってうかれに浮かれてしまった時から進歩を止めた。
スポーツは二位では駄目、一位にこそ栄光がある。優勝だけに栄光があるのだ。

中学生のとき担任の先生にこんなことをいった。
あいつは100点、あいつは99点二人共スゴイ、99点なんてオレは取ったことないけど本当にスゴイよな。オレ勉強大キライだから。先生はいった。
100点と99点は1点差だけど大きな差なのよ。
99点は99点で終わり、100点はその先に200点、300点になる可能性があるのだから。
理科と数学が不出来なオレには先ず50点そして70点を目指しなさいといった。
99点はエベレストの頂上だった。100点なんかはエベレストの上、雲の上であった。

定年後六十歳から七十歳になるまで司法試験に挑んだ人が1点差で涙を飲んだ、聞けばその1点のところにごっそりと天才、秀才がひしめいているとのことだった。
0.001秒で金と銀の差となるスピードを競う闘うスポーツ界、勝者は伝説となり二着の人間はそれだけで終わる。

シカゴで世界タイトルマッチを行い河野公平チャンピオンに敗れた亀田興毅選手は、敗者を迎えた記者のインタビューにこう応えた。ボクシング人生に悔いはない。
これからは“自由人”となり、あっちこっちに行きたい。
不出来な親を愛する、親孝行な三兄弟の長男であった。
人生の勝負はこれからだ。

優勝を逃した巨人軍の原辰徳監督は、監督を辞めると決めたら、こんなにもグッスリ眠れるのか、こんなにいい朝の目覚めが迎えられるのかといった。
頂点を極めるのは難しく、また維持するのはもっと難しい。勝者は勝たねばならない。
ラガーマンよ浮かれてる時間はもう終わった。
優勝を目指すチームは未だ死闘を続けている。

スコットランドは1点差のリードを残り30秒で逆転された。
3534、オーストラリアとの差は1点差であった。
勝者は栄光に向かい、敗者は帰国の途につく。悲しいことに主審の誤審があった。
3433でスコットランドが勝っていたかもしれない。いかなる人間も誤りをする。

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