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2016年3月3日木曜日

「姉弟愛」

※袴田さん冤罪関連のパンフレットより


昨日ポレポレ東中野で観た「夢の間の世の中」は2014年3月27日、静岡地裁が死刑囚袴田巌さんの再審開始と執行停止を決定し、48年ぶりに自由になったその日からを追ったドキュメントフィルムであった。

事件の内容を追うものでなく、お姉さんと弟巌さんの姉弟の出所後の生活経過と時間経過であった。お姉さんは弟の無実を信じ、結婚もせず一貫して無実を訴えつづけた。
このお姉さんがいなければ袴田巌さんは刑場の露となっていた。
肉親の執念であった。

日々底抜けに明るいお姉さんに心がなごむ。
「兄弟は他人の始まり」などという言葉があるが、袴田姉弟は濃い血でつながっている。48年に及ぶ拘禁生活と死刑という恐怖から開放された袴田さんは、でんでん虫より遅い速度で日々の生活の自由さを取り戻すが、殆どは取り戻せない。

部屋の中を一日中ウロウロする。柵の中の生き物のようにウロウロする。
正気に戻ったかに見えたのは、ボクシングの聖地後楽園ホールのリングに立った時だ。
無実を勝ち取るために力を合わせた歴代のチャンピオンや、現役のチャンピオンたちが同じリングにベルトを持って立った。

袴田さんには名誉ある特別のベルトが用意されていた。場内は万雷の拍手であった。
リングサイドには袴田席が用意されていた(無実を信じずっと前から)。
ボクシングを見終えた袴田さんは、ボクシングの基本である左のストレートの大切さを語った。ボクシングは忘れていなかった。

体が火照っているのか、何故かずっと団扇とか扇子で顔に風を送る。
将棋がとても強かった。スタッフは一勝も出来なかったとか。
お姉さんはよく笑う、笑顔がやさしくすばらしい。
袴田さんは多くの人々の力によって自由の身となっているが、検察は抗告している。
完全なる自由の身ではない。主なる証拠を捏造したと断じられた検察の面子だけで抗告を取り下げていない。

監督の金聖雄さん、デザイン界の巨匠井上嗣也さん、作家&DJの吉村喜彦さんご夫婦、朝日新聞の文化部の記者さん、そして私の友人と中華料理屋さんで映画について語り合った。上映前の金聖雄監督と吉村喜彦さんとの30分のトークショーは実に良かった。
深刻な映画なのだが二人の軽妙な話に救われた。
低予算だがその予算を回収するのは単館上映では並大抵のことではない。
一人でも多くの人に観てもらいたい。

「声はすれども姿は見えず、ほんにあなたは(へ)のような」電話とかメール位でしか会うことのない兄弟姉妹が多い(へ)のような世の中で、いかに姉は弟のために命をかけたかを知ってほしい。ある方から老人ホームの運営について相談を受けている。
その老人ホームに入って来る人は、兄弟姉妹がいてもその関係が無きに等しい人たちや、兄弟姉妹の世話にはならないという人たちである。
近々そのホームを訪ねる。

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