その朝アタマにイメージしていた昼食が、180度変わった。
本日午前十一時三十一分、私はJR中央線西荻窪の改札口にいた。
会社にいるデザイナーの女性のイラストレーションを展示しているのを見るために。
改札口に女性は迎えに来てくれていた。
明日が最終日、行けるのは今日しかないのであった。
24人の作家が描いたイラストレーションを24ヶ所の喫茶店などに展示する、街の活性化の一つでもある。女性はとても有能でユニークな絵を描き、また絶妙の写真とのコラージュをする。とてもいいよとなり、今度こんな事を一緒にしようと話した。
さて西荻窪は久々なので、どこかいいレストランでもあればごちそうするよとなった。
一軒あります、そこへ行ってみますかと南口で十数歩前へ進み右を見ると、な、なんと丸福ラーメンの文字。えっ、あの荻窪の丸福がまさかとなり店に近づいた。
丸福の文字は荻窪のまんま、レストランやめて丸福に入ろうとなった。
頭の中のナイフとフォークは消え、スープとスプーンも消えた。何しろ丸福である。
入ると右側に5人程座れるカウンター、どうぞ二階へと言われたが、カウンターに座った。小太りの主人と若い人が丸福のラーメンをつくっていた。懐かしい丸福の香りだ。
聞けば荻窪の丸福ラーメンの親戚。かつてその親戚が、私が暮らした杉並区天沼に丸福を出していた。日大二高前バスの停留所と杉並第五小学校前の停留所のまん中あたりに丸福ラーメンがあった。大繁盛の荻窪駅前店は脱税で告発され店を閉めてしまった。
その一族が今、荻窪北口商店街と今日見つけた西荻窪で丸福ラーメンを出しているのだ。小太りの主人と私との話は盛り上がった。
小太りの主人は天沼店で修行していたとか、人生はこういう出会があるから楽しいのだ。私の中は安全に丸福ワールドへ、ワンタンメン煮玉子入り一色となった。
デザイナーの女性には、チャーシュウワンタンメン煮玉子入りを頼んであげた。
ワンタンメンは初体験だったらしい。
私と主人のいろんな思い出話を聞きながら、おいしい、おいしいと、チャーシュウワンタンメンを食べてくれた。ところで脱税の方の丸福はどうしたかと聞けば、よくわかりませんと言った。
その店の次男坊は私と同じ天沼中学だった。
“荻生田”という名前だった。私は未だにその丸福以上うまいラーメンを食べた事はない。
マンションを二つか三つ持って家賃収入で食べているという噂を聞いた。
誰が大繁盛店を国税に密告したか、お客が並んで商売のジャマだと思っていた丸福隣のマンジュウ屋説、ブティック説、有力説は丸福一族説であった。
1 件のコメント:
西荻窪ですか!懐かしいですねー。
小生高校出て初めての東京が
西荻の朝日新聞の配達店でした。
もちろんその後荻窪だったので丸福は知っておりますが
西荻にはありませんでした。
懐かしく思い出しました。」
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