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2017年4月14日金曜日

「新しい恋愛映画」




現代詩人・最果 タヒ(さいはてたひ)さん原作、リトルモア刊「夜空はいつでも最高密度の青色だ」その完成試写を昨夜六時~七時四十七分、渋谷で観た。
キャスティングディレクターの友人とグラフィックデザイン界の巨匠と三人で。

最果タヒさんという名は知らなかった。
2008年21才の時、「グッドモーニング」という詩集で、第13回中原中也賞を最年少で受賞していた。
製作プロデューサーはリトルモアの孫家邦さん。
「舟を編む」で第37回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞、石井裕也監督が監督賞を受賞した。

孫家邦さんは小柄で細いが、目は鋭く全身から武芸者のような殺気を感じる。
写真界の最高栄誉である木村伊兵衛賞を新人女性写真家で受賞させた。
また一緒に観た巨匠の東京アートディレクターズクラブの最高賞受賞作の作品集も出版した。
金稼ぎ第一主義の現在の映画界で稀有の作品第一主義の人である。

入り口でスタッフと共に入場案内をしていた。リトルモアの孫ですとあいさつをしてくれた。
私の展覧会に来てくれたことがある。プロデューサー業の第一は必ず義理を果たすこと。
その次は熱情を余りなく尽くす。それを実践している人だ。

石井裕也監督は24才でアジア・フィルム・アワードで新人監督賞を、28才で第53回ブルーリボン監督賞、現在33才で12本目を手掛けるという才能を持っている。
映画は工事現場で働く若者と、看護師をしながら夜はガールズバーで働く若い女性との物語。
二人は居酒屋で出会う。舞台は渋谷、新宿。二人の間に芽生えたものは、恋なのか、愛なのかは確かでない。
二人は決して抱き合ったり、手を握ったりしない。都会の闇の中にある空は、二人にとっては青空なのかもしれない。
不安定と孤独、さまよう時間。

♪~がんばれ がんばれと唄うストリートミュージシャンの歌声が聞こえる。
キスシーンもベッドシーンもない二人は、映像の中で求め合う呼吸をしている。いわば精神的SEXをしている。
私にはそう思えた。男を演じるのが池松壮亮、女性を演じるのが新人の石橋静河。
新しいスタイルの恋愛映画はすこぶるどんよりとして、すこぶる純粋であった。

5月13日より上映が始まる。ぜひ観てほしい映画だ。
5月27日より全国ロードショー。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

これは今すぐにでも観たいです。
すこぶるどんよりとして、すこぶる純粋。
あと1ヶ月切っているとはいえ公開がちょっと待ちきれないですね。