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2010年10月4日月曜日

湘南の嵐便り 「帰らざる日々」

イタリアロケにて



人は思い出を宝に生きている。

「振り返らない、そこには夢がないから」といったのは寺山修司だ。
だがしかし人は人生のアルバムを見続けたい生き物なのだ。
寺山修司は振り返りたくない故里への決別があったのだろう、又上京して一旗あげるという野心があったのだろう。自らの詩と劇で。

寺山修司的にいうならば、地方にうずくまって生きて来た人間の権力と風習に対する自発的行動の戦い続ける美しい姿なのだと、あるいは地方の片隅の競馬場に育った一頭の馬が中央に上京し並みいるサラブレッドをゴボウ抜きにする姿なのである。

それはハイセイコーでありオグリキャップであり一勝も出来なかったが世間の注目を浴びたハルウララちゃんでもある。
地方から上京し一旗あげるというのは覚悟なのである。
「注目」を浴びねば故里には帰れないという。


全く整理をしないでいた会社の自分の部屋を何年ぶりかで整理した。
物を整理するなど慣れない事をするとこの世とオサラバするというが確かにその時期が目の前に来ているのかもしれない。こればかりはいかんともしがたい人生の掟だ。

一つの段ボールが出て来た、その中に夥しいスナップ写真が出て来た。
40代の頃の仕事部屋
それは正に帰らざる日々の証しであった。


会社を興して1013日で40年、愚妻と一緒になって40年、みんなみんな若かった。
30数年家族付き合いをしてもらっている中井さん、今岡さん、藤田さん一家、正月4日には我が家にみんな集まってくれた。

今岡ファミリー、中井ファミリー、藤田ファミリー
三家族ともこの頃は東急エージェンシーにいたが、今では中井さん夫婦は陶芸家に、今岡さんは神奈川県の特別参与に、藤田さんは道路関係の会社の役員に、この一枚の写真の時は誰も現在を予測してなかった。船尾さん家族も思い出深い。(写真参照)
船尾ファミリーと妻と娘

この写真の頃は船尾さんは東急エージェンシーの制作担当のトップであった。
現在は定年となって夫婦で会社を興した。

北海道から出て来て東急エージェンシーの役員までなったハイセイコーである。
うれしい事はみんな可愛い孫に囲まれすこぶる幸福な人生を歩いている事だ、ベンツに乗りヨットに乗りブランド品に囲まれゴージャスだ。今も時々会っているいわば私の人生の戦友なのだ。

キーウエストにて
ニューオリンズのホテルにて
一枚の写真は人生の句読点ともいうが、物語は更に続いている。
振り返ろうそこには人との出会いがあるから。

最近妙に整理したがっている。
今手掛けている、来年62日からの展覧会が文字通り命懸けであり多分そこが句読点でなく終点になる予感があるからかもしれない。

段々プレッシャーがかかって来るこの感じが最高なのだ。



ニューヨークにて (左)クリエイティブディレクター船尾夲氏 (中)コピーライター田村義信氏 


あるロケ先にて。(右)吉岡敏行プロデューサー
あるパーティーにて(左)コピーライター佐々木克彦氏


1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

想いでのなかにスタイリストの岩沢すうさんはいらっしゃいませんか?
やっぱり猫が好きの恩田三姉妹も著作のなかで彼女を探してました。
残り香のように、時間が消えていくと、昔の事を思いだします。
わたしも銀座の画廊で偶然、お会いして以来です。お元気でいればいいんですけど。