「アタシャネエ世田谷食品のグルコサミンを飲んでいるから膝は大丈夫なの」
「今日は先生にどこを診てもらうの」
「膝が痛くて仕方がないの」
「だって世田谷食品のグルコサミン飲んでるから大丈夫っていったじゃない」
「あんたあれは舞の海なんて元相撲取りがコマーシャルでウソ付いているだけ?」
「じゃあ飲まないで先生の指示通りにした方がいいよ、おばあちゃんいくつ」
「アタシャネエ今年で満87です」
「膝以外どっかよくないの」
「別にどこといってないけどね。ここにこうしていると安心するの、セサミンも飲んでるし、皇潤も飲んでるし、毎朝梅干しと楽京も食べてるし、青汁だって蜂蜜入れて飲んでるし」
「それじゃ病院に来なくてもいいんじゃない」
「そういうけどあんたお兄さん、健康第一だからね。プロポリスだって飲んでるし」
その日私は少し背中の曲がった老婆と病院の待合室で語り合いました。
場所は耳鼻咽喉科であった。
「アタシャこの頃耳が遠くなってね、先生に何回診てもらってもただの老化だっていうんだよ、お兄さんはどうしたの」
「耳の中にジェットが何機も飛んでいる様でありセミが九十九匹位いる感じなの」
「お兄さん変な事をいう人だね、飛行機は空を飛んでるし、セミは木にへばりついているんだよ」
「例え話だよおばあちゃん」
こんな変てこりんな会話を待合室で楽しみました。
「おばあちゃん100歳まであと13年頑張ってね」と声を掛けた時、そのおばあちゃんの名前が呼ばれた。
おばあちゃんの横で無言で週刊誌を読んでいた嫁さんらしき女性がおばあちゃんの両脇を抱きかかえて立ち上がり手をたずさえて診察室に向かった。
膝が痛いらしく引きずっていた。
どうやら世田谷食品のグルコサミンは未だ効いていない様だ?私は今は一切サプリメントとかビタミン剤は服用しない。やめてから様々な数値は改善された。
どんな薬でも肝臓は解毒のために働かなければならない。
痛い、痛い、とおばあちゃんの声が聞こえて来る。先生に膝を触れられている様子だ。
先生の声が聞こえてきた。
世田谷食品のグルコサミンで膝が治るくらいだったらお医者さんはいらないんですよ、私は耳鼻科だから市立病院の整形外科に行くといいですよおばあちゃんといった。
その後おばあちゃんは身長を測る物をみつけると身長を測って欲しいといって台に乗った。1.5センチ低くなったけど心配ないですよと看護師がいった。
アラッ嫌だアタシャ縮んだのかねといって台から降りた。
この機械壊れてるねといっていた。
嫁さんらしき40代とおぼしき女性の目は、全くやってられないといった感じであり、もう何もかもジョーダンじゃないという感じでもあった。
次の日は整形外科に行くといって帰っていった。
このおばあちゃんに先生から処方箋はなかった。
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