七月五日(金)十二時八分発福島行きやまびこ137号に乗って福島に向かう。
昨年亡くなった親友のお墓参りに行く。
四十四年前小さな印刷屋さんの四階、四畳半二間で始めた時からのメンバーの三人と行く。はじめは私一人、次に入社して来たのが今年で四十年、その次が三十九年、一緒に行くもうひとりは三十五年位だろうか。
小さな部屋に集まって来てくれたわたしの宝物のような人間だ。
亡き友を失ってこの一年、私は機能停止となった。
知らない事を教えてくれる友がいない。一緒に美術館巡り、一緒に映画や落語、一緒に歌舞伎やお能、一緒に旅も出来ない。一緒に天下国家を語り合い、政治を断じ、経済に注文をつける友がいない。
ほぼ毎日会い、または声を聞いていた友がいない。
スコッチウイスキーが大好物であったのでそれを持って行く。
日本酒も、珍味が大好きだったので、それも持って行く。
みんなで毎夜通った赤坂のクラブのママがいつも友が書いてくれていた季節の挨拶状も、今年は私が書いた。とても友の名文にはかなわない。
それにしても医師をして生きている方が不思議、人間の生活じゃないと言われた罪深き私のほうが友より長生きしているのは何故だろう。亡き友の墓に報告する事が山ほどある。真の滅びの美学を友に教えてもらいに行く。
一切の治療を拒否して潔く旅立った友は永遠の先生なのだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿