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2015年3月17日火曜日

「純愛とは」



人生とはコインの裏表であることを日々知る。
北陸新幹線に沸いた先日、石川県は二つのニュースで盛り上がった。

一つは勿論東京から金沢まで一気に一時間半近く短縮されたこと。
いかに速く走るかの結果であった。

一つは石川県能美市出身の鈴木雄介(27)選手が競歩で1時間1636秒の世界記録を樹立した。陸上の五輪種目で日本選手が世界記録を出したのは2001年に高橋尚子選手が女子マラソンで世界記録を出して以来。
男子では1965年の重松森雄選手のマラソン世界以来50年ぶりとか。
いかに速く歩くかの結果であった。いかに速く走るかと、いかに速く歩くか。
それが同じ日、同じ県で記録となった。

♪〜夕焼けこやけの赤とんぼ 追われて来たのはいつの日しか…赤とんぼを愛し、自然を愛し続けていた東大卒の先生が教え子ともいえる女性を殺害してしまったとか。
会わずにいればよかった者同士が会ってしまうのが世の中だ。
赤とんぼはもう仲良く飛ぶことは出来ない。

一人は土に還り一人は刑務所の中に入ってしまう。
真実がいずれ分かってくるのだろうが、先生と教え子とは、宿命的に恋愛感情を交わす、そして終着駅が見えない運命線に向かって走りだす。
それは純愛であることが多いのだが、純愛には死の臭いが付いて離れない。
赤い血が似合うのだ。赤とんぼの研究者であったのも実に象徴的で。
塩からとんぼやオニヤンマではドラマは成立しない。
人間から発生する「愛」ほど血に飢えたものはない。

オーストラリアの原住民、アボリジニーは16歳になると荒野に一人放り出される。
そしていかに生き残るかを自ら学んで行く。照りつける太陽の下で水を求め、食料を求めて行く。そして本能を鍛えて行く。
そんなアボリジニーの少年の前に一人の美しいイギリス少女が現れる。
生まれながらの野性と、生まれながらの品性が、運命線の上を歩き出す。
生き物は何でも殺して食う若者と、虫も殺せぬ処女は黄土色の大地を歩く。
勿論新幹線は走っていない。そんな映画を見たのを思い出した。
題名が思い出せない。
カンガルーが挽き肉にされて出てくるのが最初のシーンであった気がする。
進化する文明と、原始にこだわる人間を対比させたかなり哲学的映画だったと思う。

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