ページ

2015年3月26日木曜日

「超人、菅昌也さん」





私の知る限り日本の広告写真家でこの人の上を行く者はいない。
その名を「菅昌也」さんという。

ウォークマンをうっとりと聴きながら立つ猿を知っているでしょうか。
触ってごらんウールだよのセーターを知っているでしょうか。
パルコの着物シリーズを知っているでしょうか。
サントリーのアイラブユーの帽子を知っているでしょうか。

知っていない人の方が多いかもしれません。
何故なら菅昌也さんは余りに凄すぎて起用されないのです。
仕事が余りないのです。ヒマなのです。
一年間に二、三本とか仕事をしていないのです。

菅昌也さんは自然光で撮影する超完璧主義者、一つの仕事を頼むとそれは凄いことになるのです。露出計を持って一ヶ月近くロケハンをするのです。
その一瞬を求めて歩き探し続けるのです。妥協は一切しません。
お金は求めません。名誉も求めません。ただ一枚自分の写真を求めるのです。

菅昌也さんと組んだアートディレクターやフィルムディレクターやプロデューサーはヘトヘトになるのです。打ち合わせが始まると話が止まりません。
夕方から始まって次の日の朝までも話し続けます。
そしてカシャと菅昌也さんがシャッターを切った時、信じられない写真が生まれるのです。

世界一かも知れません。助手もいません、一人でやるんです。
菅昌也さんを満足させるアートディレクター&デザイナーは日本に数人しかいません。
太陽の光こそが菅昌也さんが唯一信じられる相手なのです。

この地球にたった一つしかない太陽が何時、何処で、どう光るか朝から晩まで露出計を見るのです。今はデジタルカメラでだれでもプロ並みの写真が撮れる時代です、がプロの中のプロが数人いるのです。

その中にしこたまお金を残した者もいます。名声を得た人もいます。
だがヒマを持て余している文字通り第一人者は菅昌也さんだけです。

昨日二時四十五分から四時近くまで菅昌也さんが私の仕事場を訪ねて来てくれました。久々の菅昌也さんの熱弁に多弁の私はじっと聞き役に徹しました。

若いクリエイターの方々、ぜひ菅昌也さんという超人に挑んでいって下さい。
超一流の上を行く写真家がどんなものかを知って下さい。
菅昌也さんともう一度何かやろう、私はそう思ってエレベーターまで送りました。
ヒマだからといっていたので仕事を頼んで断られることはないはずだから。
但し命がけになるでしょう。

私の出した本を三冊も買ってくれたのです。
その恩返しをしなければなりません。

0 件のコメント: