昨日というより今日午前二時から一本の映画を観た。映画史に残る名作だ。上映した年のベストワンになったはずだ。
フェデリコ・フェリーニ監督の「道」である。
主演はアンソニー・クインとジュリエッタ・マシーナ。
主題曲の「ジェルソミーナ」は映画音楽史に残るニーノ・ロータの名曲だ。
三輪トラックでサーカスの見世物をする男に1000円ほどで売られた小さな主人公がジェルソミーナという名だ。サーカスの男の芸といえば、筋肉隆々の胸に太い鉄の鎖を巻き大きく息をし、グッと力を込めて自慢の筋肉でそれを切る。
ただそれだけだ。
この映画がきっかけで名匠フェリーニは世界にその名を広め、ジュリエッタ・マシーナと結婚する。旅から旅へ、巨漢の男の芸の前に、ピエロの顔をした小さなジェルソミーナが悲しげにトランペットで主題曲を吹く。
一本の道の先には希望はない。
男と女は共に生きているが愛の言葉も愛の行為もない。
二人はやがて別々になる。小さなジェルソミーナは道端で消え入るように死ぬ。
それを知った男は、死ぬ間際までトランペットでジェルソミーナを吹いていたと知らされる。そして男は…。
人生とは一本の道を旅する孤独な旅なのだ。
男と女はきっと深く愛し合っていたのだろう。
日本人の中でもきっと小さいと思うジュリエッタ・マシーナはこの映画で大スターとなり、フェデリコ・フェリーニは大巨匠となる。
勿論多くの映画賞に輝く。かつてイタリア映画は世界の最高峰だった。
フェリーニの大ファンだった私は一度イタリア映画のメッカ、チネチッタに立寄った。その時チネチッタは何の活動もしていない雑然としたものであった。
その時心の中にジェルソミーナの曲が流れた。悲しかった。
ジュリエッタ・マシーナの顔が浮かんだ。
アンソニー・クインの筋肉が見えた。一本の長い道があった。
いい映画は何度観てもいい。そして涙があふれ落ちた。
2 件のコメント:
そうですね!小生も好きな映画の一つです。
還暦過ぎてから涙腺が緩くなり
また泣けるでしょうね。
しきろ庵 さま
いつもありがとうございます^^
素晴らしい名作ですよね!ついついウルウルきてしまいます。
コメントを投稿